「よく飛ぶ紙飛行機の折り方知ってる?」
葉佩九龍はいつも唐突だ。対する阿門帝等は静かに答える。
「知らん」
放課後といっても夜に近い時間の生徒会室に他の人間はいない。机に向かう阿門のそばで葉佩が紙飛行機を飛ばす。目で追えばすうっと飛んで壁に当たって落ちた。
「小学生でもできるって凍也が言ってた」
「必要ない」
「今度、紙飛行機大会やるんだよ」
葉佩が次の飛行機を飛ばす。今度のは壁まで届かずに落ちる。
「生徒会の許可のない集会は感心しない」
「いま許可貰ってる」
阿門がため息を吐く。
「せめて書類を用意しろ」
「なんの?」
「場所の借用許可は必要だ」
「はーい」
葉佩がどこからともなく紙を取り出して折り始める。慣れた手つきで半分にして、そこからは斜め斜めに翼を整えていった。
「児戯だな」
「黄金ジェットがさ、いま小型戦闘機で飛ぶんだけど。飛距離を伸ばしたくて」
「……」
「紙飛行機は流体力学みたいだし。無駄ではないよ」
「そうか」
折った紙飛行機を葉佩が飛ばす。今度のは壁まで飛んだ。
「やっぱ磁石仕込んでジェフティに浮かせてもらおっかな」
「……紙飛行機大会ではなかったのか」
「やるからには勝ちたいじゃん」
「強欲だな」
「まあ、それがいいところなので」