おやすみのキスはわたさない「カース、カース! おやすみのキスして?」
「おやおや、ホープ……君は本当に甘えん坊さんですね」
「だって、カースがここにいるってこと、ちゃんと感じたいんだもん。今日の終わりにキスしてもらえたら、夢の中でも会えるし……夢だけなのは、もう嫌だよ。朝もしてほしいな。起きたらまた、してくれる?」
「……わかりました。もう離れませんよ、ホープ」
「んっ……」
もう子どもではないはずのホープは、私の前でだけ──まるで失った時間を取り戻すかのように──幼子のように駄々をこねる。
人間は、眠る前に互いの身体を抱きしめ、親子は親愛のキスを交わすものだ。ホープは「子ども扱い」が嫌いなので、頬ではなく唇へキスを落とすようになった。だが最近は、大人同士のキスにも関心を寄せているようで、一抹の不安がある。
2725