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    sofi9617

    i7 楽ヤマ、龍ナギ、悠虎etc

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    sofi9617

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    自分で呟いて自分で読みたくなったので自給自足しました。
    話が聞こえなかったからはるたゃになんて言ったか聞こうとしたら勘違いされてちゅーされちゃう話。

    ##悠虎

    悠虎SS「えー皆さん、まず今日までお疲れさまでした。出演者の皆さんも、マネージャーさんも、スタッフたちも、皆で作り上げた……」
     打ち上げの席恒例、乾杯の挨拶が始まる。ダンスマカブル以降久しぶりの4グループ全員出演作品は今日無事に最終回を迎え、それに合わせて打ち上げがセッティングされた。座席はグループごとにされていて、俺たちは四人掛けのテーブルだ。左隣に悠、目の前に巳波とトウマが並んで座っている。出演者の中では一番端の席だった。
     監督は関わった人全員への感謝を照れ笑いしながら述べている。撮影中は容赦なくNGを出していたのに。俺だって何回撮り直ししたかわからない。それだけこだわりを持っている人なんだろうけどな。簡単なものだがアクションやスタントもやらせてもらえた。ちゃんと彼の納得がいくようにできたはずだ。一番撮り直しが多かったのはそこだったからな。
    「……で。僕は……だし、……じゃな……」
     少なからず恩義みたいなものを感じているから、話はちゃんと聞こうとしていた。それなのに照れ屋だからかどんどん声が小さくなっていく。俺の席も離れているから余計聞き取りづらい。どうしたもんかと視線を動かすと、隣の悠が真剣な眼差しを向けているのが見えた。聞こえているのだろうか。
     それなら悠に聞けばいいか。乾杯をするためにグラスを持ってからも監督は喋り続けている。今のうちに聞いておくか。
    「悠」
     耳打ちするように小声で囁く。身を屈めて顔を寄せると、悠は少し顔を赤らめて唇を尖らせた。ん? 予想外の反応だな。まあ気にすることでもないか。本題に入ろうと口を開くと、次の瞬間視界は悠の顔でいっぱいになった。何度も重ねた唇の感触がする。
    「……は?」
    「い、今はこれだけ。いきなりはびっくりするじゃんか」
     いや。
     いやいやいや。
    そうじゃない!
    「馬鹿、俺は監督がなんて言ったか聞きたかっただけなのに……!」
    「はあ⁉」
    「かんぱーい‼」
     俺と悠が揉め始める前に、今日一番大きな声で監督は言った。ようやく話が終わったのか。慌てて俺と悠もグラスを掲げる。ビールを一口飲んで、喧嘩を再開しようと二人で顔を合わせると、止めるようにトウマが取り分けたサラダを差し出してきた。
    「ほら、ハルとトラの分!」
    「……ありがと」
    「……貰っておく」
    「おう、足りなかったら言えよ!」
    「狗丸さん、そこのピッチャー取って頂けます?」
    「この烏龍茶のやつか?」
    「ええ、それです。ふふ、亥清さんも御堂さんもお顔が赤いですよ。間違えてお酒を飲んだり、飲みすぎたりしないでくださいね」
     巳波がそう言って意味深に笑う。受け取った烏龍茶のピッチャーは俺の前に置かれた。飲みすぎる前にこっちに切り替えろってことなのか。いや、顔が赤い本当の原因に気づかれているような気もする。見られていたのかもしれない。
    全く、誰のせいだと思ってんだ。心の中で毒づいて悠を見れば、同じように俺を睨む金色の瞳があった。おい、なんで俺が睨まれなきゃならないんだよ。俺は悪くないだろ。
    「け、喧嘩は後な! ほら、食えるうちに食っとけ!」
    「そうですよ。弁えてください、色々と」
     責められている。悠はまだしもなんで俺が。俺は真面目に聞こうとしてただろ。
    「……後で! つ、続きは打ち上げ終わってからな!」
    「終わってから?」
    「そうだよ。二次会断れよな、最近あんまり虎於と過ごす時間なかったんだから」
    「っ! ふは、なんだよ、寂しかったのか?」
     真っ赤な顔で言うのが妙に可愛く見える。確かにここ最近は撮影で忙しく、なかなかオフの時間が合わないことが多かった。うちに来るのも、悠の家に行くのも、しばらくしていない。仕事以外で過ごす時間はほとんどなかった。
     そうか、寂しかったのか。俺が尋ねてからも悠は視線をせわしなく動かして言葉を探していた。違う、なんて捻くれたこいつは言うんだろう。それが嘘だってのもわかりきっている。
    「……寂しかったのはオレだけなのかよ」
    「なっ……」
     予想外の返事だった。今度は俺が言葉を探す番だ。寂しかったのはお前だけだって? そんなわけあるか。俺だって別の仕事に向かうたび、一人でオフを過ごすたび、早く悠に会いたいと思った。
     さっきのキスだって久しぶりで、驚いたけど嬉しかったんだ。
     それを伝える言葉を、すぐには見つけられなかった。
    「……続きは後なんだろ?」
    「そ、うだけど……」
    「じゃあそれまで保留だ。今は打ち上げに集中しろ」
    「えっ⁉ ずるいじゃん、オレちゃんと言ったのに!」
    「答えないとは言ってないだろ。後でちゃんと言ってやる」
    「……忘れんなよ。絶対聞くからな!」
    「わかってる。じゃあほら、仕切り直すぞ」
     グラスを悠の前に掲げる。不思議そうな顔をしたから悠のオレンジジュースが注がれたグラスを指さした。はっとそれを右手で持って、俺と同じように掲げる。
    「乾杯」
    「か、乾杯!」
     チン、と小さな音を立てて二回目の乾杯をした。それを見てトウマが俺も!とグラスを押し付けて、巳波もついでに迫ってくる。その後は様子を見に来たRe:valeに絡まれ、つられたIDOLiSH7やTRIGGERのやつらも集まってきた。わいわいと賑やかな打ち上げの席もまあ悪くない。それはそれで楽しいもんだ。
     それでも頭の隅では、俺の寂しさを表す言葉をずっと探していた。終わるまでに見つかるだろうか。
     まあ、見つからなくても悠が一緒に探してくれるからいいか。
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