写真の中の自分は少し緊張した面持ちをしている。おめでとうの言葉と一緒に係員から手渡された真新しいカードの表面を炭治郎はそっと指先で触れた。
「へへ。良かったあ。一発合格だ」
何度も試験を受けられるほど時間も経済的にも余裕がないので、一度で合格できて本当に良かったと思う。トイレから出てくると試験会場で隣の席だった青年と鉢合わせになった。互いににっこり笑って会釈し合った。彼も無事に合格した様子だ。
学生のうちに車の教習所に行こうと決めたのは夏の終わり、ちょうど少しずつ貯めていた資金の目処が立った頃だった。学業と家業の合間を縫って 学科と技能教習を進め、専門学校の卒業までに運転免許証が取れたらよいと頑張ったかいがあった。
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