こいしちゃんとオベロンおにいさん、何かさがしもの?
不意に後ろから聞こえた声に、驚いて振り返る
こちらの内心の動揺に気づいているのかいないのか、今自分の目の前にいる少女は無邪気に語りかけてきた
こんにちは、はじめてみるおにいさん。
ねえ、どんなものをさがしてるの?
やあ、はじめまして。可愛らしいお嬢さん。
実は人探しをしているんだ。君はどうしてこんな所に?
あくまで柔かに、人好きのするような顔で少女に語りかけるが、内心気味が悪くて仕方がなかった。マスターを探すなら複数に分かれた方がいい、単独行動が得意なので自分は一人でいいと言ったことを(本音は他の奴らと一緒なんてクソ喰らえだと思っていたのだが)早速後悔した
なんで本音が見えないんだ…?
本来見えるはずのものが見えない。こちらの意思などお構いなしに、全てをありのままに曝け出し、映し出すこの眼が、何も映さない。
いまこの少女が何を思って自分に笑いかけているのか、わからない。
この笑顔が好奇心故なのか、猜疑心を隠すために貼り付けたものなのか、わからない。
目の前のモノが次に何をするつもりなのか、わからない。