ネバーランドには未だ遠く(仮)「つ、……司くん?」
「類か。久しぶりだな」
そこには、ずっと会いたかった愛おしい人が足を組んで座っていた。その人の名前は、天馬司。彼は僕の元恋人だった。
とはいっても、前述の通り僕は未だに彼を想い続けていた。高校卒業と同時に、一方的に彼から別れを告げられてからも、彼を忘れたことなんて一秒たりともなかった。演出家として一人前に活動できるようになって、それから少し経ってから、ひとりの俳優として彼をテレビで見かけたときは、それはもう嬉しかった。彼の成長した姿を見ることができて、心の底から安堵した。このまま真っ当に仕事を続けていれば、もしかしたらまた会えるかもしれないとも思った。テレビの中の彼は、昔と変わらず輝いていた。落ち着きがなくて、明るくて、僕にとって彼は今も光そのもので、翳りなんて一片も感じられなかった。
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