Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    mea_sosaku

    @mea_sosaku

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 21

    mea_sosaku

    ☆quiet follow

    ちょっとあきみち風味なのでポイピク。
    バレンタイン過ぎてますよ!!!!!!俺!!!!

    そぉれ! ぐつぐつ、と煮える音がする。牛の乳を煮詰めてまだ小半刻ほど。凝固し始めた液体をヘラでかき集めるように煮詰め続ける。
     ぐつぐつ、と弱火で煮込み続ける。乳の甘い香りと、僅かに痺れるように紛れ込んだ呪いの瘴気。顕光が作るものは多少の差はあれど呪いは着いてしまうもの。それも顕光が故意でするとなれば尚更濃く付着することだろう。
     私に蘇を作れなどと言ったこと後悔させてやる。
     顕光は好き好んで蘇を作っているわけではなかった。脅されて作っていると言ってもいい。御堂関白、藤原道長が蘇を作らなければ、マスターやサーヴァント達に顕光の失敗談を吹聴せると言ってきたのだ。
     その程度でなにか評価が変わるとは思わないが、下手に勘違いされるような伝え方をされては困る。マスターとは良好な関係を築けているし、酒の席での失敗などを道長からマスターの耳に入れば、年頃の娘であればしばらくは口を聞いて貰えなくなるかもしれぬ。それだけは避けたかった。
     イライラとしながら、しかし丁寧に煮詰めていく。蘇を作れとは言われたが、食べられる蘇を作れとは言われてない。取っておきの方法を使って呪いを込めよう。
     そして、驚かせよう。
     顕光はぐつぐつと煮詰め続けた。

     翌日、一晩寝かせた蘇を片手に持って、道長の部屋を訪れる。
    「本当に作ったのか」
     ドアから顔を出した道長が開口一番に吐いた言葉はそれだった。その驚いた顔の道長にニィっと式札の目を笑ったように歪ませて……

     そのまま道長の顔面に蘇をぶつけた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💗💗🍭🍩🍫🍦🍵
    Let's send reactions!
    Replies from the creator