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    にゃろまぐ

    赤安! @286mag

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    にゃろまぐ

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    スモバお題「僕の番犬」でした!読んでくださった方ありがとうございます。べったーが調子悪いので、移植しておきます。

    #ライバボ
    mother-in-law
    #赤安
    #スモバ
    smoba

    ライ🐕のお耳とお尻尾がうつっちゃう💦 ──だめですよ、マダム。この男は僕の番犬ですので。

     そう言って、パーティー会場中の女性の視線をほしいままにしていた寡黙な色男のネクタイをぞんざいに引き、話を遮ったのは、これまた美しい青年でした。
     ネクタイを引かれた男は長い黒髪と涼やかな目元、グリーンアイズが印象的。背が高く、黒のタキシードの上からでも分かる逞しい身体つき、ひりつくような冷めた眼差しが、内にどんな荒々しい雄を秘めているのかとめくるめく想像を起こさせる。
     対して、ネクタイを引いた男は、みずみずしいキャラメル色の肌、光を纏う美しい髪、大きな瞳と甘い垂れ目、つんとした果実を思わせる唇は少女のような愛くるしさ。なのに、青年ならではの凛々しさがぴりりとスパイスとなり、たった一瞬で無慈悲なほどに心を攫う。白い手袋に包まれた手で男の礼節の象徴を無造作に掴む手つきたるや、まるで言葉通り飼い犬のリードを引くようですが、その若さと美貌の前ではどんな辛辣な台詞も愛らしい戯言に、不遜な態度も魅惑的な奔放さに変えてしまう。ゆえに、彼のたった一言の台詞、そして若き主人の執着を当然のように受け入れて見せた色男の沈黙によって、彼らに注がれる視線は異様な熱を帯びました。

     この愛らしくも傲慢な青年を、屈服させたい。
     二人まとめて囲いたい。
     あるいは、あるいは。

     紳士淑女の集まりゆえに、あからさまな行動を起こす人間などいない。けれど、交わされる眼差し、ひそやかな囁き声、会場の空気は彼らを中心に渦巻き始める。その様を向かいの建物からレンズ越しに眺めていたスコッチは、よくやる、と舌を巻きます。
     バーボンは、普段は日付が変わる前にパジャマに着替えてきちんと就寝、女性と同席しても花より団子、ハリウッド女優に眠れないのと誘われても梅昆布茶を進めるような男ですが、必要となれば意識か無意識か、こうしてあっという間にそこかしこの欲望に火を点けて、どんな相手も恋の奴隷にして見せる。そして、近づいてきた男たちを夢見るような眼差しの奥でシビアに品定めし、今回のターゲットにアプローチし、今後役立ちそうな相手に期待の芽を植え付けて、今夜のところはさようなら。
     目的以上の成果を得て意気揚々と引き上げてくる様はあっぱれの一言。犬呼ばわりされた男も、彼の鮮やかな仕事ぶりは認めているのでしょう。だから、そんな屈辱的なあしらいを受けたとしても、ちっとも気を悪くする素振りはないのでした。もっとも、そうでなくともライは日頃からバーボンに甘い。多少おいたをしたところで、あるいは機嫌を損ねるような真似をしたところで、他の人間だったら氷の眼差しで射抜かれ、身の程を思い知らされ、二度と前に姿を現せないようになるでしょうが、相手がバーボンであれば、この世でたった一つの宝物を扱うみたいにつつしみに溢れた手つきで頬を撫で、一体なんだと目を細め、顔を覗き込むばかり。
     そんなわけで、その日も何度目かも分からない「番犬ごっこ」作戦にて、無事にミッションを完了したのですが。

     翌朝。
     あなたそれ、とバーボンの動転した声が寝室から響いて、スコッチは何事かと朝食を用意する手を止めて寝室を覗きにいきました。すると。
    「確かに、僕の番犬と言いましたけど。誰が本物の犬になれと?」
     朝日が差し込み眩しい寝室のベッドの上には、腰を浮かし、唖然としてライのことを見下ろしているバーボン。気怠そうに前髪をかきあげて、煙草に手を伸ばすライ(ライは朝が弱いのでいつものことですが)。そのライの頭には、ぴんと立った、真っ黒な毛に覆われた三角の犬耳、お尻からはふさふさの立派な尻尾が生えていたのです。
    「大きい声を出すな。この耳に響いてかなわん」
    「犬のくせに煙草吸おうとしてるやつが何をえらそうに」
     バーボンは舌打ちして、ライがこんな状況下でも寝起きの一本とばかりに咥え火をつけた煙草を奪い取って、灰皿に押し付けます。その間も、ライの頭に生えた犬耳は、声の主への関心を示すように、ぴくぴくと動いていました。
    「まあまあバーボン。それより、ライ、それどうしたんだ?」
    「大方昨日の会場で飲んだカクテルだろうな。妙な味がした」
     さして困った様子もなくため息まじりにライが放った言葉に、バーボンは苦虫を噛み潰したような顔をしています。
     それもそのはず。ライがあの会場で口にしたのは、バーボンがターゲットに勧められて断り切れずに手にしたグラスだけでした。結局、横からライが番犬の務めとばかりに奪い取って一口飲んでみせ、やめておけと言ったせいで、バーボンは一滴も飲まなかったのですが。
    「それにしても、犬耳が生える薬とは。奴はなぜこんなものを」
     愛らしくも小生意気な探り屋に夢中になった奴隷たちのなかには、一風変わった趣向を押し付けようとしたり、妙な薬で支配しようとしたりと、厄介なことを考える奴も少なくありませんでしたが、そのたびにライとスコッチで始末していたので、本人は不思議そうに首を傾げるばかり。
    「お前を飼い犬にしたかったんだろう」
    「……初めから犬を飼えばいいのに。なんにせよ、すみませんでしたね、僕のせいで」
     不貞腐れた物言いのバーボンは、素直ではない口ぶりながら責任を感じているのでしょう。すぐにスマートフォンを取り出しました。
    「ともかく、あの男の研究室を調べます。あなたはそれまで大人しくしていてください。ほかに自覚症状は?」
    「……あるようなないような」
    「なんだ、はっきり言え」
    「お前の丸い頭を見てると、こう、衝動が」
     言うやいなや、ライはベッドからおりようとしていたバーボンの腕を掴み、引きずり戻して、後ろからのしかかりました。そしてそのまま。
    「ちょ、やめ、……!」
     バーボンをベッドに押さえつけ、まろい頬にべろりと舌を這わせたのです。ライの大きな身体の下で、バーボンはじたばたと暴れていますが、力の差の前ではどうにもできず。なんとか逃れようとシーツに爪を立て、貼って逃げ出そうとする姿は余計に狩猟本能を掻き立てられるのか。ライは大きな尻尾をばっさばっさと振って、獲物を押さえつけて甚振るかのごとく、耳やらうなじやらに甘く歯を立て、しきりに舐めまわしています。バーボンの悲鳴は初めは驚きのそれでしたが、やがて、ひゃあん、とこねこのように甲高いものに変わり、頬を火照らせ、目を潤ませ、湿った吐息を漏らし、びくびくと身体を震わせ……。
     普段凛とした幼馴染の、欲に濡れ切った姿を意図せず目にしてしまったスコッチは。
    「あ~、分かった。じゃあ俺、ちょっと行ってくるわ」
     即座に撤退を決断。そそくさと、部屋を後にします。
    「分かったって、なに、スコッチ、待っ、助けて……!」
    「ライのことは頼んだぞ~!」

     寝室の扉をしっかり閉めて、スマートフォンとノートパソコンを持ったスコッチは、アジトを飛び出しました。
     バーボンにはご愁傷様ですが、助太刀に入ろうとした自分にライが一瞬向けた鋭い眼差しは、完全に、獲物の横取りを牽制する雄のそれ。無理にバーボンから引きはがそうとするなら、本気で襲い掛かってきかねません。そうなったら、一瞬で躊躇いなく相手の目を潰すようなジークンドーの使い手相手に、自分でどこまで歯が立つかどうか。だったら、バーボンにライのことを任せて、自分が研究所を調べたほうが良さそうだと思ったのです。
     ……というのと、ライは恐ろしい男ですが、バーボンを大事にしていることは日頃散々目にして疑うまでもありません。だから、きっとどんな状態になっても、バーボンを傷つけるような真似はしない。そもそも、さっきはライの突然の変化に気を取られて突っ込み損ねましたが、なぜ二人が同じベッドで眠っているのか。そういう意味でも、自分があの場所にいるのは得策には思えませんでした。
    「ともかく、バーボンが食らいつくされる前に早く解毒剤を手にいれないと」
     スコッチは研究所の場所を調べると、急いでエンジンをまわし、車を発進させたのでした。

     ◇

     さて、スコッチに見捨てられ、部屋に取り残されたバーボンはというと。
     のしかかってくる男をどうにか引きはがそうとしていましたが、まさかこんなにも、力の差があるなんて。どれだけ力を込めてもびくともしないうえに、さっきから、何か熱くて硬いものがお尻にずりずりと当たっているのです。
    「ライ、それ」
    「不可抗力だ」
     呻くように吐き出したライの息は熱く、首筋に触れるたびに、自分まで変な気持ちになってきます。 
     ──どうしよう。
     バーボンはさっきから、弱りきっていました。うなじに歯を立てられ、耳たぶをねぶられて。噛みつかれれば痛い、舐められれば気持ち悪い、のはずなのに。なぜだか、ぞくぞくと身体の奥のほうから甘い高揚がこみ上げてくるのです。
     ライが今自分にしていることが俗にいうセックスの愛撫にあたることを、バーボンは知りませんでした。バーボンにとってセックスというのは、男性器を女性器のなかにいれて射精する、以上。保健体育の教科書には、そこに至るまでに触れ合って、互いの官能を高め合う前戯の段階があることまでは書いていなかったからです。
    「んあ、っ、やぁ、」
     口からは自分のものとは到底信じたくないような甘ったるい声が飛び出してしまい、頭がじんと痺れ、腰のあたりがもどかしい。何かがくすぶって、出口を求めている。このままでは、身体がおかしくなってしまう。内側から突き上げるような衝動に耐え兼ねて、ついにバーボンは、ライの長い髪を掴んで引き、泣き言を漏らしました。
    「ライ、だめ、僕も、お耳とお尻尾生えちゃう……!」


     涙をにじませた、まあるい大きな瞳。いつも生意気な探り屋の切な懇願に、ライは、はっと我に返りました。
     飲まされた薬には、犬になるだけでなく発情するような成分も含まれていたのか。華奢な手首、細い腰。むっちりとした尻に、愛らしい顔。いい匂いの首筋に舌を這わせれば、色濃い肌の濡れた様のなんと、そそること。目の前にいるのは間違いなく、極上の相手。気に入った雌を見つけたら、ほかの相手に奪われる前にマーキングしなければ、自分の種子を植え付けなければ。きゃんきゃんと愛らしい顔で捲し立てるバーボンは、そんな獣の本能に火をつけるのは十分で、彼を見ているうちにあっという間に、理性が失われました。
     けれど、今自分が本能のままあに欲望を突き立てようとした相手は、そのように扱っていい人間ではないのです。
     バーボンは探り屋としてコードネームを得るにふさわしく、どんな方面の話題を持ち出しても豊富な知識で面白い意見を述べる。そんな男でしたが、一点だけ、俗っぽいことに関してはことさらに疎いという弱点がありました。美しい女や下心を抱いた男にベッドに誘われても、その先に待つものが想像できない。だから、アジトのベッドの毛布が薄くて眠れなければ人肌のぬくもりを分け合えばよいと、何の躊躇いもなく、人のベッドに潜り込んでくるのです。
     初めは噂通りのあばずれかと身構えたのですが、こちらの警戒など露知らぬ様子ですやすやと穏やかな寝息を立てる子供のような寝顔。翌朝、朝日が昇ると共によく眠れたとばかりに、寝ぐせ頭でふわあと大あくび。一晩中気を張り続けていた己が馬鹿らしく、たいそう拍子抜けしたものでした。ちなみに、スコッチではなく己を選んだのはガタイがよくてあたたかそうだから。本当に、湯たんぽくらいにしか思っていないのです。
     そんな、純粋無垢な探り屋が今、初めてそういう意図をもって触れられて。感じ入ったような声をあげ、身を震わせていても、身体の内側で渦巻く衝動の意味するところなど分かるわけがありません。だから、彼の頭がはじき出した答えが「僕も、お耳とお尻尾が生えちゃう」。薬の効果がうつるとでも思ったのでしょうか。
    「すまない、バーボン」
     ライは大きく息を吐いて、バーボンの身体を離してやりました。
    「ライ……?」
     恐る恐るといったふうに振り向いたバーボンの、不安に揺れ惑う表情。犯罪組織で出会ったいずれ捕まえるべき相手は、かつて知らなかった衝動を、不合理な感情を次々ともたらす。守ってやりたいのに、むちゃくちゃに壊してみたい。この手で、まだ誰も知らないまっさらな身体に、いいこともいけないこともすべて教え込みたい。そもそも、恋人でもない相手にどうこうしたいなど、今までの自分には思いも寄らぬことです。己のうちに芽生えた欲望を持て余しながら、おいしそう、と喉が鳴るのを必死に堪えて、ライは続けます。
    「うつったらまずいから、お前はリビングに行っていろ。俺が部屋から出るまで、絶対にドアを開けるなよ」
     そう言うとバーボンは、助けを求めたくせに、心配そうに眉を下げました。
    「……でも、ライは大丈夫なんですか?」
     自分の前では意地っ張りで生意気な態度をとっていますが、根は優しく責任感も強い男が、自分のせいでこうなった相手を放っておけるわけがない、というのはさもありなん。だから、バーボンを遠ざけるために。彼が納得するために。どうにか考えた挙句、ライの口から出たのは結局、こんな言い分でした。

    「お前は自分の番犬に、そんなやわな男を選んだのか?」
    (完)
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    にゃろまぐ

    MOURNING女装で任務するれいくんの話。下書きです!軍パロ本「初恋」で没にしたルートB。コナン界の人間、割とナチュラルに女装してるかられいくんもしてくれ〜〜〜。軍パロ本はこれです https://ec.toranoana.jp/joshi_r/ec/item/040031027378
    女装れい(軍パロの赤安←沖) まだ懲罰の期間は数日残っているというのに、牢から出された。
     といっても、自分の足で出たわけではない。意識を失っている間に運ばれ、目を醒ましたらまったく見覚えのない居室にいたのだ。清潔なベッドに寝かされ、身を清められ、傷には包帯が巻かれている。
     ベッドサイドの椅子には沖矢が座って、自分の顔を見つめていた。鞭を打って散々自分をいたぶった張本人とは思えない、心配そうとさえ言える表情。つまり、ここは沖矢家の邸宅なのだろう。この男は自分を貶めたいのか利用したいのか、果てまたもっと別の目的があるのか。一貫性のない行動は理解に苦しむ。
     部屋にはひっきりなしにメイドが出入りして、何かを準備していた。ドレープのたっぷり効いた青のドレス。肘の上まであるグローブ。ヒールの高いパンプスに、パールのネックレスに、ご丁寧に女性ものの下着まで。いかにも軍の男が喜びそうな深窓のご令嬢セットを用意して、一体何を企んでいるのやら。
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