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    wanko_rkgk

    @wanko_rkgk
    月ごとの絵をまとめたり、こそっとすけべ描いてたり。まれにまんがもどきも描くしSSも書く。

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    wanko_rkgk

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    ブローカー⚖️と荒事担当部下🍱のおはなし。
    ※都合上ヤスくん+2歳くらいのイメージで書いてます。さすがに高校生に荒事護衛職に就けれない。

    フォロワーさんのイラストから妄想が捗って書き始めたやつです。

    「……しまった、うたた寝をしていた……です」

     カクリと頭が落ちる感覚で目が覚める。
     いつから意識が落ちてしまったのか。時計を確認するが、数時間前に仕事を始めたことは覚えていても没頭していたせいでろくに時間は確認していない。そのため、どのくらいうたた寝をしてしまったのかはわからなかった。くしゃり、と頭を掻く。

    「こうしている間にも、不当な目に合っているミューモンがいるかもしれないのに、」

     俺はとある組織のブローカーだ。取引相手を探し・紹介し、取引契約を円満に進めることができるよう日々励んでいる。
     ……というのは一部の話で、別の役割も持っている。
     ブローカーという仕事をしていれば嫌でも耳にするのが、売り手や仲買人のあまりよろしくない噂話や不審、不当な手引といった情報だ。その入ってきた情報を精査し、黒とわかればその情報を元に証拠を集め裏を取る。そうしてそれを使って相手を揺すり、潰していく。いわゆる汚れ仕事も行っている。
     今はここ最近に耳に入った案件を情報屋を通しながら裏を取っていたのだが。

    「数日の徹夜が効いてきたか……です」

     机の上の書類を見る。
     ある小さな製菓会社の取引先の小麦が入荷困難になり、別の会社から高額で取引を要求されているらしい。この製菓会社は最近話題になりだした駆け出しの会社であり、まだまだ資金繰りに苦労している段階だ。このままでは小麦を入手できずに菓子を作ることもままならなくなる。世に出せていたはずの菓子が流通しなくなるのだ。そんなことはあってはならない。
     当事者であるミューモンや新作を楽しみにしているミューモンのことを考えると、尻尾の毛が逆立つのがわかる。休んでいる暇はない。

    「リカオ、すっげぇ怖い顔になってるぞ」
    「……ヤスか」
    「コーヒー淹れたから持ってきた、甘めのやつ」

     そう言うとヤスは机の書類を避けてカップを置く。

     ヤスは俺の部下兼護衛だ。
     俺はこういう仕事をしている手前、他ミューモンから恨みごとを買いやすい立場にいる。荒事が得意でない俺には護衛が必要だと上からお達しがあり、護衛としてヤスが配属された。今まで荒事に巻き込まれたことはなく、そんなものは必要ないと一度突っぱねたが、では俺の後継を育てるための部下としてとの名目で上から無理矢理就けられたのだ。
     配属された当時は部下兼護衛など必要ないと思っていたが。

     ヤスは気が回る男だった。
     休憩を入れるかと考えればタイミングよく飲み物と茶菓子を用意する。昼飯を忘れて仕事をしていることが数日続くと昼に弁当を用意するようになり(手作りだそうだ)、徹夜が続いているのがわかるとどうにか休ませようとしてくる。……いや、徹夜は慣れてるから休まなくても良いのだが。
     当初の目的だった護衛は荒事自体が起こることはなく、身の回りの世話係のような立ち位置で仕事をサポートしてくれている。
     ……後継を育てる件に関しては、早々にヤスには向いていないと言っておいた。

    「なにニヤニヤしてんだよ」
    「ニヤニヤなどしていない……です。いや、世話になっているなと思ってな……です」

     フ、と思わず漏れた笑いを誤魔化すように、ヤスの頭をポンと撫でる。ガキじゃねーんだからやめろ、と言われながらも手を跳ね除けないあたり、嫌ではないのだろう。しかしやりすぎると怒るためほどほどで手を退けるとしよう。
     ヤスの硬そうでいて意外とそうでもない髪を透きながらするりと頬を撫でる。その時、彼の顔に真新しいかすり傷があるのが目に入った。

    「……ヤス、この頬の傷はどうした……です」
    「あ?あー……ここ来る前に変なやつに絡まれたからその時かも」
    「またか。ほかに怪我はしていないのか?……です」
    「大丈夫、してねーよ」

     コレもちょっと掠っただけだし、とバツが悪そうにそっぽを向く姿にどうしたものかと悩む。
     俺も他ミューモンのことを言えないのだが、ヤスは目付きが悪い。睨んでいないのに睨んでいる、ガンをつけられていると誤解され、ぶっきらぼうな物言いに逆上され絡まれることが多いのだ。難癖をつけられても放っておけばいいものを、ヤス自身の喧嘩っ早さもあり吹っ掛けられた喧嘩を毎回買ってしまっているようで、こうして生傷を作ってくる日は少なくない。
     机の上から二段目の引き出しを開ける。ヤスが来る前はまとめきれていない書類やメモが乱雑に入っていたその場所は、今はたびたび生傷をこさえてくる彼の手当のための道具が入っている。そこから消毒液とテープを取り出す。

    「ヤス」
    「……ん」

     自身の前に簡易椅子を置き、手を拱いて声を掛ければ椅子に座る。はじめのうちはどんなひどい怪我でも手当など必要ないと言って拒んでいたのに。今ではかすり傷でも声を掛ければは手当を受けている。素直になったものだ、と笑いが出た。
     ヤスが部下として来なければ仕事に没頭して、こうして仕事を中断することもなく休憩も取らずに働いていただろう。彼がいることで良い息抜きになっている。そう考えると部下としてヤスが配属されたことは俺にとって良かったことなのだろう。

    「……やっぱニヤニヤしてる」
    「してない……です」

     年上をからかうのはどうかと思うが。
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