ぽんこつインキュバスと神父さま最後に来た村人の懺悔が終わり、告解室を出る頃にはもう夜になっていた。
信心深い方では無いのだが、亡くなった父親の跡を継ぎ神父となったのだが初めは向いてないと毎日のように悩んでいたものの存外この穏やかな日々が気に入っている。
山の中にある教会、そしてその山の麓にある小さな村は人口も少なく葬式も少なければ結婚式も滅多にない。
少なくとも俺の代になってからはそれぞれ1回ずつしかまだ経験したことがなかった。
精々日々の仕事と言えば、教会の掃除か日曜のミサ、それか今日のように懺悔に訪れた村人の相手だ。
父が拘った美しい装飾のステンドグラスから差し込む月明かりが今日は随分と明るい。
そうか、今日は満月なのか。
適当に夕食を済ませて今日はさっさと寝よう。
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