白昼夢のバカンス3海岸沿いのヤシの木が並ぶ砂浜を2人で歩く
目指すは教えてもらった役場だ
「何だか懐かしいな〜こうして並んで歩いてると子供の頃みたいだね」
「私が歩くの遅いとお兄ちゃんはぐれないように手繋いでくれたじゃん?あれめっちゃ嬉しかったな」
唐突に話始めたあいつに
「あ〜…そうだったか?」
俺は何だか照れくさくなって言葉をにごす
そうだ…よく2人で遊びに行った帰りにお兄ちゃん疲れた歩けないとベソをかくのでおぶって帰ったなと当時の映像が脳裏に浮かぶ
「昔から優しいよね」
眩しい笑顔が急に飛び込んできた
「お…おいなんだよ急に」
「お?さては照れてるな??」
ニヤニヤした表情であいつが顔を覗き込んできたので
「あ?調子に乗るなよ」
俺はあいつの頭をガシッと掴んだ
「あ〜酷い暴力反対
可愛い妹の頭を鷲掴みにするなんて信じらんない」
ぎゃーぎゃー暴れるとついに俺の腕を振り解いてべーっと舌を出したあいつに
「自業自得だろ」
と俺は言い放った
というか可愛いって自分で言うのかよ
どんだけ自己肯定感が高いんだ
「いいもーんお兄ちゃんなんか置いてっちゃうんだか…ら…?」
俺に悪態をついていたあいつが何かに気づいた…
その瞬間急に走り出したので
まずい
咄嗟に俺は妹の腕を思い切り引っぱった
「ちょっ痛いお兄ちゃん何するの」
ビックリしたあいつが怒りの表情を俺にむけハッとする
「だって…お前…今まで走っちゃ駄目だったろ?」
走ったらまた発作が出て倒れてしまう
「え?何で??私元気だよ?」
そう言われてますます混乱する
確かにそうだ
こいつはこんなに元気なのに
俺は何を言っているんだろう
「」
「変なお兄ちゃん」
そう言うと妹は先に行ってしまった
その後姿を見送りながら俺はさっきの違和感を拭えないでいた
何故あんな事を口走ってしまったのか?
ぐるぐると思考が巡り始めた時…
「キャー」
あいつの悲鳴が海岸に響き渡り俺は咄嗟に走り出していた