晴道 晴明と師弟関係となって何年経っただろうか。内裏へも出入りできるようになり、右大臣との縁もできた。居が必要ならばと都の外れではあるが程よい大きさの邸まで用意してくれるという。そろそろと思い、道満は昼に晴明邸で話を切り出すことにした。
「晴明殿、拙僧ここを出ようと思いまする」
突然の弟子からの申し出に目を通していた書から顔をあげた。
「何故?」
「京での在り方を覚えました。晴明殿のおかげもあり依頼主とのご縁もできましたので。改めてあなたに挑みたく」
じっと真意を探るように見つめてくる晴明に道満は眉を寄せた。
「───誰が、許可した?」
「はい?」
「誰が、弟子を辞めることを許可した?誰が、私の元を離れることを許可しましたか」
1887