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    コペルタ

    @blanketxxxp

    小説・名刺メーカーで作ったSS
    ョョのオリキャラやコラージュ等を
    まとめて投稿しています。

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    コペルタ

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    ※恋人ホルイルと夫婦ホルイルの交流話
    ↑以前SS名刺で書いた【遠幻鏡】の本編。
    ※特殊な話の為、呼び名分けをしています。

    #ホルイル
    foil
    #タイムスリップ
    timeWarp
    #小説
    novel

    遠幻鏡+*·🪞·*·+🪞+·*🪞·*+

    かわいい かわいい、赤毛のネズミ。
    ゆらゆら 揺りカゴ、夢のナカ。

    いとしい いとしい、赤毛のネズミ。
    ヨダレを 垂らして、眠ってる。

    だいすき だいすき、赤毛のネズミ。
    ふわふわ 落ちてく、穴のナカ。

    あいして あいして、赤毛のネズミ。
    ずうっと ずうっと、オレの物。

    *+·🪞·*·+🪞+·*🪞·+*


    柔らかくて、ハリのある弾力。
    ゆっくりと頭を撫でる手つき。
    枕ではない感触に、寝起きの頭を起こすと、

    「おはよう、トポリーノ」

    イルーゾォと、目が合った。

    「何だよ、オメー……もう起きてたのか」

    いつもなら、オレが先に起きて渋々起こすのに。
    珍しく早起きしても、じっと見つめるなり「飯」と言い放っては、二度寝を決め込む野郎なのに。

    「早く浴びて来い、朝飯は用意しておく」

    ひとしきり撫でた後、頬にキスをしてきた。
    えらく機嫌が良いにしても、ここまではしない。
    しかも結んだ髪からは、シャンプーの匂い。

    「オメーは、もうシャワー浴びたのか」
    「一緒に入ってほしかったのか、ん?」

    「可愛いヤツだな」と、またキスをして微笑む。
    このままだと朝飯を食う前に、喰われそうだ。

    「んじゃあ、浴びてくるぜ」

    腕の中から抜け出すと、寝室のドアを閉めた。


    .+*·🪞·*·+🪞+·*🪞·*+.


    「アイツに、嫌な真似でもしたか?」

    体を洗っている最中、オレは考えていた。
    悪い意味で思い当たる節は、いくつかあったが。
    どれもこれも、些細なモノばかりだ。

    「そもそも……」

    《トポリーノ》だなんて、滅多に呼ばない。
    それにイルーゾォの髪は、肩より長いが。
    今朝は、胸まで伸びていた。
    人間の髪は一晩で、すぐには伸びない。
    まるで、時間を吹っ飛ばしたような――。

    「ホルマジオ」
    「…………ッ!」

    突然カーテン越しに呼ばれ、声を挙げるのを手で押さえる。まさか、タイミングを狙ったのか。

    「どっ、どうした?」
    「朝飯が、出来たぞ」
    「おぅ、そうか……グラッツェ」
    「……早く上がって来い」

    独り言のように、浴室から出て行くイルーゾォ。
    浴槽に付着した泡と一緒に、嫌な汗が流れた。


    +*·🪞·*·+🪞+·*🪞·*+


    テーブルには、湯気を燻らせるカプチーノ。
    その隣には、冷蔵庫で冷やしておいたタルトが、上品に皿へ並べられている。

    「チーズとブルーベリー、どっちか選べ」

    こんな時、好きな方を選ばせるのは、オレだ。
    でないと、すぐ不機嫌になってしまうからだ。
    なのに、親切に選ばせてくれている。

    「ブルーベリーにするわ」

    目の前に差し出されたブルーベリータルト。
    まさか、こっそり盛られていないよな。
    恐る恐る嗅ぐと、甘酸っぱい匂いだけがする。
    思わず凝視していると、

    「腹が、減ってねぇのか?」
    「いや、そういうワケじゃあ」
    「フフッ……しょうがねーヤツだな」

    人の口癖を真似しながら、タルトを半分に割り、口元へ宛てがってきた。つい抵抗してしまう。
    視線をタルトから、イルーゾォに移せば、

    「そろそろ腕が、痺れてきたぞ」

    やっと崩れる前に食べてみせたが、イルーゾォの指は、紫色のソースまみれになってしまった。

    「拭いてやるから、ほら……あっ」

    右手を引っ込めたかと思えば。チュッ、チュと音を立てて、丁寧に舐め取り始めた。
    しかも見せつけるように、真っ赤な目を細めて。

    「相変わらず旨いな」

    舐め終わると、キッチンの水道で手を洗う。その背中を眺めながら、慎重にカプチーノを飲んだ。

    「おまえ……本当に『イルーゾォ』なのか?」
    「そう思いたくないなら『ルル』って、呼べ」

    椅子に座り直すと、熱が抜けてきたカプチーノを少し飲み、チーズタルトを頬張った。
    猫舌なのは、同じか。

    「……ルル」
    「どうした、トポリーノ」
    「ガッティーノを何処にやった」
    「ずうっと居るだろ、おまえの足元に」

    テーブルの下を覗くと、呑気に欠伸をした猫が。
    すると、いつもの散歩へ出かけて行った。

    「テメー……冗談も大概にしやがれ」
    「テメーじゃあない『ルル』だ」

    アンニュイな表情で、溜め息混じりに返される。

    「落ち着け、らしくねぇぞ」
    「『らしくねぇ』のは、どっちだ? あ"ぁ?」

    俺のスタンド《リトル・フィート》を右腕に発動させ、ルルの喉元に突き立てる。もしかすれば、イルーゾォに成りすました偽物かもしれない。
    オレもギャングであり、暗殺者の1人だ。
    家族や恋人、仲間であったとしても容赦しない。
    それが偽物なら、尚更だ。

    「……嫌いか」

    右手首を掴まれた途端、ソファへ押し倒された。
    あまりにも予想外の力技で、驚いてしまった。
    するとルルは、今にも泣き出しそうで声で、

    「トポリーノ」

    覆い被さった拍子に、ネックレスが垂れた。
    チェーンには、2人分の指輪が通してある。
    もしかすれば、これは――。

    「どうか、このオレを……『許してくれ』」

    ルルが、唇を重ねようとした瞬間だった。

    「ホォォォルマァァァジオォォォ――ッ」

    寸での所で止めに入ったのは、オレの知る、恋人のイルーゾォだった。だが、壁掛けの鏡から這い出る姿は、怨霊よりも迫力があった。その凄味に、スタンドを解除してしまった程だ。

    「イルーゾォ……うごぁッ」

    ベッドへ瞬間移動されるオレ。手鏡でも使って、自身のスタンド《マン・イン・ザ・ミラー》で、移動させたのだろう。怒りに震えながら、ソファに残されたルルに向かって、

    「消えろビッチ ホルマジオは、オレのモンだ…… 近付く事は、決して『許可』しないッ」

    肩に抱き着きながら、威嚇するイルーゾォ。
    見慣れた結い髪に、この高慢チキっぷり。
    まさしく、オレの知っている恋人だ。

    「おい、こんな時に笑ってる場合か……あっ!」
    「だったら、オレのモンでもあるな」

    意味ありげな発言と共に、オレの頭を包み込む。
    頭上では、同声同顔の男達が口論している。
    豊満な胸が当たり、完全に圧迫されていた。

    「よくも、このオレを飛ばしやがって」
    「さぁ……オレには、よく分からないが」
    「とぼけるなッ! 寝てる間に、テメーが向こうへやったんだろうがッ」
    「フンッ…… いくら鏡の世界へ行けたとしても『未来』までは、行けないだろ?」

    今、なんて言った。以前、鏡の世界は死の世界だと聞いていたが、一体どういう状況なんだ。

    「その辺にしておけ、イルーゾォ」

    壁掛け鏡の向こうから、男の嗄れ声。
    聞き覚えのあるような、無いような。
    だが次の瞬間、オレは耳を疑った。

    「ホルマジオ」

    オレを開放したルルは、即座に鏡から出て来た男を抱きしめる。同姓同名ではなく、正真正銘の。
    乱れた結い髪を直すと、ルルの目元を革手袋越しに拭う。

    「若いオレに可愛がられて、満足したか?」

    顔や首には、大きな火傷跡が、痛々しく広がっている。片耳には、2連のピアスをしていた。
    それが、ルルのネックレスを彷彿とさせる。
    何より、この男も妙に落ち着いていて。
    怪しくも危険な雰囲気を漂わせていた。

    「違う、オレが『可愛がって』やってたんだ」
    「オレの奥さんは、誑かし上手だもんなァ〜」

    しょうがねーなと言わんばかり、腰に手を回す。
    外見からして、30代だろうか。さっきまで色気があったルルも、仔猫みたいに甘えている。

    「向こうで、過去のオレと何してたんだ?」
    「そうだな……オレも『可愛がってやった』な」
    「このオッサンに、何回もキスされまくったぞ」

    吐き捨てるように告げると、イルーゾォまで未来のオレの所へ行ってしまう。

    「ガッティーノも、撫でられに来たのか」
    「フンッ! 子供扱いしやがって、掻っ切るぞ」
    「アヒャヒャ……怒った顔も可愛いなァ〜」

    今この部屋には、恋人のイルーゾォと人妻のイルーゾォが居て、更に旦那になったオレも居て――これが、カオスってヤツか。

    「トポリーノ、実は……その……」

    ルルが、再びオレに近寄り、事の顛末をこっそり教えてくれた。話によれば【遠幻鏡】という魔法の鏡によって、オレ達のいる世界を覗いていたらしいが。スタンド能力と反応したのか。
    此方の部屋にある鏡と繋がり、タイムスリップのゲートになってしまったそうだ。

    「鏡に『お願い』なんて、おとぎ話かよ」
    「……悪いか」
    「いや、悪くねぇけど」

    特別、酷い仕打ちをされてはいない。
    それに歴代の連中と比べれば、可愛いモンだ。

    「てっきり『新手の刺客』だと思っちまって」
    「油断するな、ホルマジオ!」

    イルーゾォは、警戒心剥き出しで指を差す。

    「こんな脳内ファンタジーのアバズレビッチが、また隙を狙って出入りして来たらマズイだろ! テメー、今度こそ『夜這い』されちまうぞッ」
    「オメーも、よく未来の自分を貶せるよな」

    このままだと、血で血を洗いかねない。
    勝手に向こうへ飛ばされて、怒るのも解るが。

    「しょうがねーなァ〜……ガッティーノ」

    ルルと同様に、イルーゾォの腰に手を回す未来のオレ。その慣れた手付きに、嫌な胸騒ぎがした。

    「ルルを許してやっちゃあくれねーか」

    イルーゾォの頬を触れながら、にっこりと、

    「オレが、たっぷり可愛がっておくからよ」

    仄暗い緑眼に、悪寒が走る。同じくイルーゾォも、何も言い返せずに立ち尽くしていた。
    その様子に、頭をワシャワシャ撫で回した後。

    「還るぞ、ルル」
    「……分かった」

    ルルが首に腕を回すと、足を支えながら抱える。
    余裕そうだが、腰が砕けないか不安だ。

    「邪魔したな」
    「おぅ、気を付けて還れよ」
    「……おまえ等も、仲良くやれよ」

    ニヒルに笑う未来のオレに対し、ルルは寂しそうな表情のまま、抱えられている。そしてカラフルな光に包まれると、部屋から消えてしまった。
    嵐が去ったようで、どっと疲れに襲われた。

    「無事に還ったな」
    「あぁ、そうだな」

    ベッドに寝転ぶと、シャンプーの匂いがふんわりと漂った。あぁ、おまえも向こうで浴びたのね。

    「ホルマジオ」

    腕を伸ばし、誘うイルーゾォ。
    此方も寂しそうな視線を送る。

    「オメーもかよ、しょうがねーなァ〜」

    隣に並ぶと、オレの胸に顔を埋める。オレよりも身長が高くなったのに、甘えん坊だよな。

    「見てて寂しくなっちまったのか?」
    「違う。オメーが……もう、いい」

    すぐ拗ねては、欲しがるように抱きしめる。
    本当に、しょうがねーヤツだ。

    「愛してる、イル……オレは、おまえのモンだ」
    「当たり前だ」

    甘ったるいキスをして、瞼を閉じる。
    次第に意識が、ふわふわと現実から離れていく。
    イルーゾォの温もりも相まって、眠りに落ちた。


    +*·🪞·*·+🪞+·*🪞·*+

    かわいい かわいい、黒いネコ。
    尻尾を くねらせ、夢のナカ。

    いとしい いとしい、黒いネコ。
    鼻をスピスピ、鳴らしてる。

    だいすき だいすき、黒いネコ。
    どんどん 落ちる、穴のナカ。

    あいして あいして、黒いネコ。
    ずうっと ずっと、オレの物。

    *+·🪞·*·+🪞+·*🪞.+*






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