ネタ「──付き合いきれない。もういい加減うんざりなんだよ」
重苦しいため息と共にそう告げられ、学生時代に2年、遠距離になってから7年の交際が幕を閉じた。
その日は泣いて、泣いて、泣いて。翌日は店に立とうとしたけどバイトの子たちに止められ奥で作業。納品に来てくれた北さんにも心配されたけど、理由は言わなかった。言えなかった。
店を閉じ、自室に戻る。角名のために腕を振るったキッチン。角名と一緒に食事をとったテーブル。熱く何度も肌を重ね合ったベッド。目に映る全てが思い出だらけで、昨夜あれだけ泣いたのにまだまだ涙は溢れてくる。
壁に背をあずけて目を閉じれば、聞こえるのは自分のものでもなければ片割れのものでもない、聞き慣れた低い声。
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