あかねさす茜さす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや
君が袖振る ー額田王
パプニカ王室直営の農園には、稀少な薬草や染料に使われる植物が広大な敷地に数十〜数百種類も栽培されている。
パプニカの布や服は世界でも高値で取引されていることからわかる通り、その質と技術の高さには定評があった。
当然農園は厳重に管理されており、ポップとヒュンケルは魔法薬の研究のため、特別な許可を得てそこに入っていた。
「すっげー!早く来いよ!」
農園へ続く坂を先に駆け降りたポップが、興奮して手を振ってくる。
「女王陛下の特別許可を得ているとはいえ、私的なものだ。おおっぴらにはできない。考えなしに手など振って、誰かに見咎められたらどうする」
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