「おい、チェカ」
はらりと垂れた髪に行灯の光が透けて、昼のような色を放っている。見たことのない光景にレオナは目を丸くしていた。これだけの期間、ここへ通いつめたレオナであったが、こうして床に寝転がり自分に跨がるチェカを見上げたことはなかった。
この数年、花魁となったチェカの贔屓になっていたレオナだったが、その実、一度も抱いたことはない。ただ共に寄り添い眠るだけ。その肌すらも晒したことはなく、昔から変わらぬ清い関係のままだった。
チェカが花魁として甘い言葉を吐き、その飴色の肌を艶めかしく揺らし、性を表に出すところをレオナはただの一度も見てはいなかった。金を積み、この部屋へと上がってくるのにも関わらず、レオナには着物を乱すということが今の今まで一度も出来なかった。
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