「みなさんには、これから殺し合いをしてもらいます!」
明星スバルが目を覚ますと、そこは夢ノ咲学院の体育館だった。
扉は開かず、窓も開かず。
照明だけが煌々と光る不気味な場所にはESアイドルが全員集まっており、かつて五奇人と呼ばれた彼ら曰く、ここは普段住んでいる世界と次元が違うらしい。
どうしたものかと話し合っているときに、突然ステージに現れた謎の人物が冒頭の台詞を吐いた。
当然みんなは謎の人物に詰め寄る。
スバルが嫌な感じを悟った時には、謎の人物に拘束されている月永レオと遊木真の姿があった。
「ウッキ~!」
「月ぴ~!」
「ゆうくん! れおくん!」
たまらず叫ぶ。
謎の人物はその様子に不気味な忍び笑いを漏らすと、瀬名泉にナイフを投げた。
「え」
「セナ! 大丈夫か!?」
「泉さん!」
幸いナイフは瀬名の足ぎりぎりに刺さる。
瀬名がナイフを拾い上げると、謎の人物がニィと口角を上げた。
「では、殺し合いを開始する! 瀬名泉はそのナイフで人質のどちらかを殺せ! 殺さなければどちらの命もない。どちらかを助けた場合、助けられた方の命は保証するものとする」
「は、そんなこと、きくわけ」
「では今から両方とも殺そう」
謎の人物はいつの間にかステージの両脇に設置された椅子に拘束された二人に向かってナイフを投げた。
ナイフは月永の束ねた髪と遊木の眼鏡を壊す。
「次はない。制限時間は5分! せいぜい悩め、ふははは」
謎の人物はどこかへと消え去っていった。
慌てて皆がステージに行こうとするも、見えない壁に阻まれていくことができない。
瀬名だけはいけるようで、ナイフを握りしめた瀬名はステージに行く階段を上がる。
向かった先は、遊木真だ。
「い、泉さん」
「ゆうくん」
瀬名はナイフを振り上げる。
スバルはギュッと目を瞑った。
次に聞こえてきたのは遊木の困惑した声だった。
「わ、ちょ、なにして」
「もう、何で外れないの……チョ~うざぁい」
瀬名はナイフで拘束を外そうとするも拘束は解けない。
それでも外そうとする瀬名に遊木は笑って声を掛けた。
「泉さん、それはとれません。万が一泉さんの手が怪我したら大変なので、もう諦めて下さい」
遊木の声は上ずって震えていた。
それでも気丈に瀬名の目を見つめる。
☆書けない――!
〇書きたいところ
・レオいずレオっぽい
「セナ! おれと心中しよう!」
レオは満面の笑みで瀬名に語り掛けた。
瀬名は遊木の方を見て、それからいつもと何ら変わらないレオを見る。
「アンタはそれで、後悔しないの」
「セナと一緒なら怖いものは何もないし、それに」
「それに?」
「セナの死を独り占めできるなんて、こんなにうれしい事はないだろ?」
レオはわははと笑った。瀬名はため息をついたあと、同じように笑う。
そしてレオの首にナイフを当てた。
「れおくんはあの時一回殺したから、殺すのは二回目だねぇ」
「あの時はおれが勝手に死んだだけだよ。さあ、今度こそお前の手で殺してくれ! リッツ、ナル、スオ~! それからママとテンシと……とにかくその他大勢! 愛してるぞ! うっちゅ~☆」
「ゆうくん、ちゃんと目瞑っておいてね。じゃあれおくん、心中しよう」
「大好きだよ、イズミ」
「俺も、大好き」
「泉さん! 月永先輩!」
そうして、レオの頸動脈を切った瀬名は自身の心臓にもナイフを刺して、二人は死んだ。
残されたのは泣きじゃくる遊木と司たちだった。
・零と奏汰が人質で薫くんが殺す係
「さあ、君は相棒と親友どちらをとる? ちなみに武器は一発しか入っていない銃だ。心中なんてされたら困るからね」
「そんな、えらべるわけ」
「おやおや、迷っているね。では僕が手助けしてあげよう」
そういうと、謎の人物は手から立体映像のようなものを出した。
そこに映るのは奇人と軽音部のメンバー、アドニスと凛月だった。
「これが朔間零を殺した時の周りの反応だよ」
皆口々に零を殺したことを罵る。
よく見れば姿かたちや声は微妙に違うのだが、パニック状態の薫に分かるはずもなかった。
次に謎の人物に手に映ったのは奇人と流星隊のメンバー、颯馬と斑だった。
「そしてこれが深海奏汰を殺した時の周りの反応だ。さあ、君はどちらを殺す?」
「そんなの、そんなの」
「これでもまだ選べないのかい? では大サービスで第三の選択肢を上げよう」
「え」
謎の人物は銃を薫のこめかみに突き付けさせた。
「君が死ねばいい」
「薫くん、聞くな! 俺を殺せ!」
「かおる! ころすならぼくです、あなたがしぬひつようはない」
ほぼ同時に叫ぶ。
だが、薫は笑顔を浮かべて引き金に指をひっかけて――。
ばん。