「形にした想い」 残り少なくなった兵士たちを集め巨人薬について解説した日の夜。リヴァイはエルヴィンに「この後、来てくれ」呼ばれ彼の執務室へと向かっていた。
「なんだまだ話し足りねえのか?めんどくせえ話は聞かねえぞ」
仕事中ならまだしもプレイベートな時間になった夜更けでは慣れたように室内に気配を感じるとノックもせずにドアを開け入り込むと執務机ではなく簡易的な応接用のソファに座っていたエルヴィンに近づく。
「こんな時間にわざわざすまない。もう一つ渡したいモノがあってね」
「あ?これ以上面倒なモンはごめんだ」
「はは。ある意味一番厄介なモノかもしれないな。リヴァイ、手を出して」
「?」
「そっちじゃない、逆だ」
訝しげだがエルヴィンに言われるままに先に差し出した右手を引っ込め左手をエルヴィンの前に出す。目の前に出された自分より一回りか二回り小さな手。この手にどれだけの事をさせてきただろう。どれほど自分は救われてきただろう。向けられた手のひらを返し手の甲のほうにするとそのまま引き寄せその薬指に鈍いゴールドのリングを嵌めた。
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