友人でも親類縁者でもない、職場の同僚の結婚式に参列するのは初めてのことだった。
向こうはこちらのことを同僚と認識してるかは定かではないけれど、少なくとも私は彼らのことを同じ職場で働く仲間だと思っている。それに新婦である彼女は、私の入社日より十日後に“目覚めた”のだ。
テーマパークスタッフと一口に言っても職種は多岐に渡るが、仕事内容は華やかなイメージの反面、実際には地味でキツいという話は本当だった。
当時、清掃のやり方やお客さまに声を掛けられたときの応対の仕方など、研修で先輩から教えてもらいながら仕事を覚えていたが、立ち仕事の辛さを早くも実感し始めていて、お客さまに草臥れた笑顔を向けないように気を付けなければいけなかった。入社したてで気を張っていたことが幸いして、疲労と職業選択に対する後悔を覆い隠せていたとは思う。それでも肉体的にも精神的にもへとへとになっていた。
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