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    ・敏腕カメラマンの尾形×モデルの鯉登
    ・週刊誌にふたりのキスが撮られてしまった!鯉登を守るべく奮闘する敏腕マネージャーの月島、さてどうする!?

    【独自】人気モデル鯉登、写真集担当カメラマンと「カフェキス」!イケメン同士の熱愛発覚!?『じっとりと汗ばむ気温に雨が降っていた七月の午後十時半。黒いキャップに黒マスクで素顔を隠しても、そのスタイルに道行く人が皆、振り向いて二度見している。すらりと長い手脚にエキゾチックな顔立ちが話題を呼び、来期の朝ドラにも主人公の弟役で出演が決まっているモデル・鯉登音之進だ。

    「鯉登くんは十七歳のときにスカウトされました。出身は鹿児島県。父親は地元で有名な名士です。剣道の九州大会に出場したとき、面を取った瞬間の写真がSNSで『イケメンすぎる剣道少年』と話題になってバズりました。それを見ていち早く鹿児島まで駆けつけたのが、現在所属するプロダクションの鶴見社長。なんと社長自ら、彼の地元まで出向いて口説いたんですよ。本人は最初、そんなに乗り気ではなかったそうです。しかし何かのきっかけで社長の人柄に心酔してしまったらしく、東京の大学に進学すると同時に、本格的に芸能活動を始めています(芸能関係者)」

    乗り気じゃなかったのにデビュー二年足らずでパリコレ出場まで叶えてしまったのは、生まれもった才能かー。隠し切れないオーラを放ったまま、鯉登は西麻布にほど近い場所に位置するガラス張りのカフェに入り、アイスラテを注文。座ったのは無防備にも、歩道に面するガラス張りのカウンター席だ。そこにはすでに先客がいた。鯉登の初写真集を担当したカメラマンの尾形百之助である。鯉登はマスクを顎までずらし、少し嬉しそうに口元を緩める。気の合う仕事仲間、深夜に酒ではなくお茶というのがなんとも小粋ではないか……。そう思った次の瞬間。尾形は椅子に座ろうと身を屈めた鯉登の後頭部に手を回し、なんとキスをしたではないか!(写真)

    「尾形カメラマンは物凄く腕が良くて、業界内でその名を知らない人はいません。被写体が持つ魅力を最大限に引き出した写真を撮りますが、問題は性格。嫌味っぽくて皮肉屋なんです。自分にも他人にも厳しいので、よく言えばストイック・悪く言えばこだわりが強すぎる。彼を指名したがるモデルやアイドルは沢山いますが、尾形さんは近年、自分の気に入った人しか撮りません。鯉登くんとは彼がモデル活動を始めた頃に出会ったと聞いています。現場では喧嘩ばかりしているそうですが、喧嘩するほど仲がいい、とも言えますね(前述・芸能関係者)」

    個性的ながら整った顔立ちの尾形カメラマンと、駆け出しながら国際的な活躍を見せつつある新進気鋭のモデル・鯉登が、まさかの熱愛。そのキスはさながら、映画のワンシーンを切り取ったようである。二十分後、本誌はカフェから出てきた二人を直撃取材した。

    記者)すみません、おはようございます。『週刊チューズデー』です。
    鯉登)びっくりした。はい、おはようございます……?
    記者)驚かせてすみません。あの、鯉登さんと尾形さんはお付き合いされているんでしょうか?
    鯉登)なんだ急に。失礼だな。
    記者)きょうはお二人で何されていたんでしょうか?
    鯉登)カフェから出てきたんだからお茶してたに決まっているだろうが。
    記者)尾形さんとはどういうご関係ですか?
    鯉登)私の専属カメラマンだ。
    尾形)おい待て、俺がいつ専属になった?
    記者)先ほどキスしてましたよね?
    鯉登)それはこいつが勝手に!
    尾形)ははあっ。あ、タクシー来た。
    記者)いつからお付き合いされているんでしょうか?
    鯉登)私たちいつから付き合ってるんだ?
    尾形)いいから黙って乗れボンボン。

    漫才のような掛け合いをしながら、尾形は慣れた手つきで当たり前のように鯉登の腰を抱く。仲睦まじい二人を乗せたタクシーは、渋谷方面へと消えていった。関係性に謎を残したままだが、尾形と鯉登がキスをしていたことは間違いない。写真集で大きな反響を呼んだあの魅惑の微笑みは、撮影者であるカメラマン本人に向けられたものだったのか。これから鯉登のグラビアを見るたびに、尾形カメラマンの姿が脳裏によぎることになりそうだ』



    「……」
     
    ぐしゃり。月島は白黒印刷された紙を握りつぶした。出版社から「明日の『週刊Tuesday』で記事出します』」と一方的な通告と共に、早刷りのゲラがFAXされてきたのは午後九時のこと。交渉の余地はなかった。鯉登は見た目こそ大人びて澄ましているが、中身は成人したてのほんの子どもだ。マネージャーとして、彼を守る責務があった。共演者でもスタッフでも、鯉登個人と連絡先を交換することは絶対に許さなかった。仕事絡みの人間関係は、すべて月島を通すよう徹底してきた。それなのに。

    「いつの間にこんなことになっていたんですか」
    「……別に」

     そっぽを向く鯉登は、露骨に不貞腐れていた。深夜にアポなしで月島が自宅マンションに来て、更にはこんな記事が出ると知らされれば、不機嫌になるのも無理はない。

    「どうだっていいだろう、こんなもの。私は恋愛禁止を謳ったアイドルじゃない」
    「そういうことじゃありません」
    「じゃあなんで怒っているんだ。相手が男だからか?」
    「そういう問題でもありませんし、そもそも怒っていません」

    月島は「確認したいことは山ほどありますが」と前置き、ため息をついた。

    「実際のところ、尾形とはどういう関係なんですか」

     ぴくり。鯉登の眉が動く。

    「……どうもこうも、記事を読めばそこに書いてあると思うが」
    「付き合っているということでいいんですか?」
    「知るかバカタレ! そんなこと私が知りたいわ!」

     触れてはいけない部分だったらしい。一転して逆上する鯉登だが、今更動じる月島ではない。月島はピンポン玉大に丸められ、皺くちゃになった紙をもう一度開く。

    「『いつからお付き合いされているんでしょうか?』『私たちいつから付き合っているんだ?』『いいから黙って乗れボンボン』」
    「キエエエエ朗読するな!」

     鯉登は顔を真っ赤にし、部屋の隅に立てかけられていたダイソンのコードレス掃除機に手を伸ばそうとした。竹刀代わりにしては凶器すぎるので、月島はその腕を押さえて引っ込めさせる。

    「どう見てもはぐらかされてますよね」

     今度は静寂が訪れた。図星か。鯉登はぱくぱくと口を動かしてから、そのままの体勢で力なく項垂れた。遊ばれてるんじゃないんですか、と追い打ちをかけるつもりだったが、あまりの消沈ぶりにやめておく。暫しの沈黙の後、鯉登は俯いたまま、呟くように言った。

    「……少なくとも私は、そのつもりだ」

     消え入りそうな声だった。月島は大きく息を吐き、記事に目を落とした。大きくスペースを取る、見事にパパラッチされた写真。映画のワンシーンを切り取ったような、角度も影も何もかもが完ぺきな、美しいキスだ。それはもう、まるで撮られることを知っていたみたいに。

    「……とりあえず、このことについて取材されても絶対にノーコメントを貫いてください。それがプロとしての対応です」
    「……分かった」
    「それと、尾形と連絡を取るのはしばらくの間控えてください」
    「えっ」
     
     鯉登が目を丸くして、勢いよく顔を上げる。

    「会うのも駄目なのか」
    「良いわけないでしょう」
     
     月島はばっさりと斬り捨てて、ポケットからスマホを取り出した。何よりもまず、尾形を締め上げる必要がある。

    「私が対処するので、鯉登さんは私の連絡を待っていてください」

     そう言いながら、尾形へ短くメッセージを送る。数秒も空けず、既読がついた。それは月島から連絡が来るのを待っていたかのような、あまりに早すぎる反応だった。








    (To Be Continued…?)


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    DONE・敏腕カメラマンの尾形×モデルの鯉登
    ・週刊誌にふたりのキスが撮られてしまった!鯉登を守るべく奮闘する敏腕マネージャーの月島、さてどうする!?
    【独自】人気モデル鯉登、写真集担当カメラマンと「カフェキス」!イケメン同士の熱愛発覚!?『じっとりと汗ばむ気温に雨が降っていた七月の午後十時半。黒いキャップに黒マスクで素顔を隠しても、そのスタイルに道行く人が皆、振り向いて二度見している。すらりと長い手脚にエキゾチックな顔立ちが話題を呼び、来期の朝ドラにも主人公の弟役で出演が決まっているモデル・鯉登音之進だ。

    「鯉登くんは十七歳のときにスカウトされました。出身は鹿児島県。父親は地元で有名な名士です。剣道の九州大会に出場したとき、面を取った瞬間の写真がSNSで『イケメンすぎる剣道少年』と話題になってバズりました。それを見ていち早く鹿児島まで駆けつけたのが、現在所属するプロダクションの鶴見社長。なんと社長自ら、彼の地元まで出向いて口説いたんですよ。本人は最初、そんなに乗り気ではなかったそうです。しかし何かのきっかけで社長の人柄に心酔してしまったらしく、東京の大学に進学すると同時に、本格的に芸能活動を始めています(芸能関係者)」
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