レミルチの作法 レミー・プグーナは、鼻につくほどに器用な男だ。
同僚である男を評価するとすれば、ルチアは副隊長に対しこのように述べるだろう。
澄ました顔の女泣かせ、器用に恋をする男。
レミーと付き合った女は、悲しみを知らぬ別れをする……。
そんな、クサいジョークが、実に似合う色男。……、それが、レミー・プグーナだ。
レミーが付き合っていた女性の数を、正確に知っている訳ではない。
けれど、ふとした会話の端に現れた恋人の名が、年を跨ぐ頃には友達として現れること。
仕事終わりに食事に誘われたレミーが、「待ち合わせがある」と言って別れた後。偶然遠くに見えた緑の髪の男が、前と違う女性の背を抱いていたとき。
そうやって、遊び慣れている癖に、レミーから香る香水の匂いはいつも同じだ。
4478