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    chiocioya18

    @chiocioya18

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    chiocioya18

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    漣ハッピーバースデー!!なタケ漣です
    当日直接がうれしいって話

    わたしの書く牙崎はいつまでたってもインターホン鳴らすことを覚えません

    #タケ漣
    rippleOnBamboo

    芸能界は平日も休日も関係なく仕事が入る。ましてや誕生日なんて単なる一日でしかなく、当日である今日アイツは仕事で地方へ出かけていた。ユニットではなく事務所の他メンバーとの共演でプロデューサーも同行しているらしい。前日入りで、終わりは遅くなるから泊まって翌日に帰ってくる予定。「一日遅れだが盛大にお祝いしような!」と円城寺さんは張り切っていて、明日は男道らーめんでごちそうが振る舞われる。俺も一応、料理を手伝うつもりだ。
    アイツがいないと一日が静かだ。寝る前に少しだけのつもりで手をつけたゲームにうっかり没頭してしまい、気づけばもうすぐ日付が変わろうとしていた。そろそろやめるかとセーブしたところで、

    ガンガンガン!!

    思わず肩が跳ねた。玄関ドアが乱暴に叩かれている。こんなことをするヤツの心当たりは一人しかいない、だけどアイツは今遠くにいるはずで……じゃあ誰が?
    混乱している間にも容赦なく叩かれて、あまりにも近所迷惑すぎるその音を止めるため慌てて駆け寄る。ドアスコープで姿を確かめて、扉を開けた。

    「遅せぇ。さっさと開けやがれ、チビ」
    「……オマエ、なんでいるんだ」

    ふん、と鼻を鳴らしただけでするりと玄関へ滑り込む。そのまま居間へと乗り込んでいくヤツの後を追った。

    「仕事は? 泊まりだって聞いたが」
    「オレ様にかかればソッコーなんだよ。居てやるまでもねえ」

    なにを言っているんだコイツは。とりあえずプロデューサーに連絡しねえと、とスマホを見るとすでに連絡が着ていた。ゲームしていて気づかなかったようだ。

    ─『お仕事が済んだ途端に漣さんが帰ると言い出して』
    ─『私はどうしても一緒に帰れずおひとりで行かせてしまったのですが、無事にそちらに着いたか教えていただけませんか』

    ─『了解っス!自分が駅まで迎えに行きます!』
    ─『漣に電話したらこっちには着いてるみたいなんスけど、まだ会えてないっス』

    グループに溜まったメッセージに申し訳なく思いながら、コイツがうちに来ていることを伝える。程なく2人から返信が来たことに一安心して、我が物顔でローテーブルに頬杖を付いている人騒がせをジトリと睨んだ。

    「プロデューサーと円城寺さんが探してたぞ。迷惑かけるな」
    「ハア? 下僕には一人で帰るっつったし、らーめん屋は電話してやっただろ。どれだけしてやれば満足なんだよオマエら」

    そう言って、証拠とばかりにスマホを翳して唇を尖らせる。コイツからしてみれば叱られる言われは無いんだろう。……実際、いつもは何も言わずにふらっとどっか行くようなヤツだから今回のはマシなのか? コイツといるとだんだん基準がズレてきてよくない。

    「……なんでそこまでして俺んちに来たんだ。飯も寝床もあっちの宿のが断然良いだろうに」

    向こうで嫌なことでもあったんだろうか。でも、なにかあったならプロデューサーから俺たちにも伝わるはず。それに、コイツの態度もそう深刻な感じじゃない。なんか、ソワソワはしてるけど。

    「……聞くことあったから」
    「俺に? つーか、電話じゃダメだったのか」
    「ダメじゃねえけど。直接のがいい」

    コイツの言い分は相変わらず要領を得ない。俺に聞きたいことがあるって。そう言うわりにコイツは黙ったままで、焦れたように目線がチラチラ揺れている。見ているのは俺の顔と、手にしたスマホの画面……時刻表示? それに気づいたら、やっと思考がつながった。
    俺 “に” じゃなくて、俺 “から” 聞くってことか。

    「……誕生日おめでとう……?」

    ニイってコイツは満足そうに笑った。そこで時計は0:00を示す。滑り込みギリギリセーフ。

    「よし」
    「よしじゃねえ。まさかこのためだけに来たのか……?」
    「悪いかよ」

    美味い食事も広い布団もほっぽり出して、急いで俺のところへ。信じられない気持ちで尋ねてみたら、堂々とした肯定が帰ってきた。なんなんだ、むしろ俺の方が恥ずかしい。

    「用済んだから帰る」
    「どこにだ」
    「どっか外。それか、らーめん屋んち」
    「こんな時間に円城寺さんちに押しかけるんじゃない。ここに居ていい」

    出ていこうとするのを腕を掴んで引き留めた。それでもまだ振り払おうとするから、もう片方の腕も捕らえて「ここに居ろ」って、念を押す。だって、コイツ俺に会いに来たのに。このまま行かせちゃいけない気がした。

    「……チビがそこまで言うなら、仕方ねえな!」

    声に喜色を纏わせながら、コイツは俺の横を通り越して寝室に向かう。その背中で揺れる髪をあわてて追いかける。

    「じゃ、オレ様は寝る」
    「え、寝るのか。もう?」
    「あとすることねーだろ。あとは明日…いや今日? 起きてかららーめん屋んとこ行けばたらふく食えるらしいからなァ」
    「おい、せめて着替えてから寝ろバカ」

    俺の言葉なんて聞きもせずにベッドの真ん中を陣取ってしまう。さっきはちょっとだけ可愛げがあると思ったのに、帳消しだ。本当にコイツはやることが突飛で、極端で、腹が立つ……けど。
    仕事を速攻で終わらせてきたというのは嘘ではないのだろう。早くも寝入ってしまったコイツを起こさないように布団をかけてやった。
    ベッドを譲ってやるのは、誕生日だから特別だ。



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