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    chiocioya18

    @chiocioya18

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    chiocioya18

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    タケ漣。片思いの朝。

    寝顔見つめる推しカプ書きすぎでは?と思いつつ…もう手癖みたいなもんなのでゆるしてください。

    ##タケ漣
    #タケ漣
    rippleOnBamboo

    カーテンを透かす青白い朝の光に目を覚ます。掛け布団はかろうじて端だけが身体を覆っていた。引き寄せようとすればクイと逆側からわずかな抵抗を感じて、仕方なく肌寒さに耐えることを選ぶ。首だけを巡らせてベッドの壁側を見れば、こちらはしっかりと布団を被った男のあどけない寝顔が間近に飛び込んできた。布団を取られた恨めしい気持ちよりも間抜けな寝姿への胸騒ぎが勝るなんて、いよいよ重症だとこっそり嘆息する。
    いつのまにか、俺はコイツに恋をしているらしい。
    この横暴で喧しくてやることなすこと滅茶苦茶な男のどこにだとかなんでだとか、自分でもわからない。自覚したからといってコイツに優しくしようなんて思わないし、口を開けばケンカするし。以前より多少は歩み寄るようになったかもしれないが、表向きにはなにも変わっていないはずだ。この想いを伝える気はない、気づいて欲しいわけでもなかった。
    ただ、恋心というのはどうにも取り扱いが難しくて。
    コイツがその日の寝床に円城寺さん家ではなく俺の家を選べば内心で喜んでしまうようになった。面倒くさがっているふりをしていつまでも客用布団を用意しないのは、狭いベッドでコイツと寄り添って眠るのを楽しみにしているからだ。
    今だって、眠るコイツの無防備な唇に目が吸い寄せられてしまっている。
    起きている時は身長差でわずかに見上げる顔は、寝ている今なら同じ高さだ。血色の良い唇はふっくらして見えて、やわらかそうだ、なんて考えてしまうと心臓がドクドクと暴れ出す。全身の体温が、特に顔が熱くなって、もう布団からはみ出た肩の寒さなんて忘れてしまうほど。じっと見つめていても伏せられた瞼が開くことはなく、今ならキスもできるんじゃないかと勝手な想像を抱く。

    「なぁ。……起きないのか」

    オマエが起きないと、止まれなくなってしまう。
    目覚ましには小さすぎる声量の通告は、コイツの眠りを覚ますには足りなかった。
    ごくりと息を飲んで、ほんの少し顔を傾ける。目を閉じると自分の鼓動のうるささに呆れそうになる。ゆっくり近寄って、唇が触れる…すんでのところで誘惑を振り切って顔を離した。
    やっぱり、こんな、不意打ちみたいなのはよくないだろ。俺の気持ちをきちんと伝えてもいないのに。

    「遅え。トロいんだよ、チビ」

    ぐい、とスウェットの襟ぐりを掴まれて引き寄せられた。同時に、唇に当たるやわらかな感触。
    まばたきも忘れて固まっているうちに、そっと口は離されて、ぱっちり開いた金色の瞳と目が合った。

    「………」
    「………」
    「……ぐぅ」
    「おい。いまさら寝たふりはムリだろ」

    無言で見つめあった後、ばさりと布団を被り直したコイツを揺すって引っ張り出す。あんな大胆なことをしておいて照れ隠しするなんて、本当にへんなやつ。改めて対面した顔は耳まで真っ赤だったが、多分俺も人のことは言えない。

    「オマエ、どうして…」
    「さ、先にしようとしてたのはチビだろーが! なのにぐずぐずしてっから、オレ様は…!」
    「知ってたのか。俺の気持ち」
    「……気づかないわけねぇだろ、あんなバレバレの……」

    バレバレだったのか…。自分の演技力にちょっと自信を失いかけたが、コイツは俺からの好意を知っていて、それでもなお拒まなかった、ということは。
    俺はコイツの手首を掴んだ。もう、布団を被ってごまかしたりできないように。

    「ちゃんと、伝えさせてくれ」

    そうしたら今度こそ、不意打ちじゃないキスをしよう。
    俺の言葉にコイツはさらに顔を赤くして「生意気言ってんじゃねー!」と蹴りつけてきた。
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    chiocioya18

    DONEタケ漣冬の収穫祭!でネップリ公開していたバレンタイン話です。たい焼きデート。
    芸能界は常に行事を先取りしている。テレビやラジオは放送日の何ヶ月も前に録ることもざらにあるから、季節の巡りがカレンダーよりも先走っているように感じてしまう。
    バレンタインデーの特番収録をこなしたのが先月のこと。ファンのみんなからのチョコは連日事務所に届いていて、だから今日が二月十四日当日だということも、きっとコイツは忘れているに違いない。レッスンからの帰り道、来るかと訊けばのこのこと家へついてくるのもただの気まぐれなんだろう。
    コイツにとってバレンタインデーは特別な日ではない。それはわかっているけれど、それでも。カバンの中に忍ばせたチョコレートを、渡すタイミングを見計らっている。
    ちゃんと綺麗な箱に入った、コイツのために用意したチョコだ。小さくて量は大して入ってないから、果たしてコイツが喜ぶのかは想像できない。買った直後もここ数日間も、やっぱり渡すのはやめておこうかと何度も何度も思ったが、買う時にどれだけ恥ずかしかったかを振り返ると悔しくて、諦めきれずに持ってきてしまった。そのくせまだ渡せずに持ち歩いているのが情けない。
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    cross_bluesky

    PROGRESSパラロイ本(ブラネロ)の冒頭部分。
    CRITICAL ERROR 鳴り響くエラーメッセージ、動かなくなるボディ。辛うじて稼働していた聴覚センサーが最後に拾ったのは、見知らぬ男の声だった。

     高層ビルの真ん中を薄紅色の花弁が舞い、眩しい光と音に溢れたネオン街──フォルモーントシティ。そこでは人間の他に、アシストロイドと呼ばれる人の手によって作られた機械たちが暮らしている。
     整備と機械化の進んだハイクラス・エリアとは違い、階級社会の底にあるワーキングクラス・エリアには治安の悪い場所も決して少なくない。法の目をかいくぐった非合法な店が立ち並ぶ中、管理者不明のアシストロイドたちはメンテナンスもされず、ただ使い捨ての道具のように各々の役目を全うすべく働かされていた。
     ──フォルモーント・シティポリスのもとに大規模な麻薬取引のタレコミが入ったのは夕方過ぎのことだった。ワーキングクラス・エリアの歓楽街の一角で、違法アシストロイドたちと引き換えに、隣接したシティから大量のドラッグが持ち込まれるという。人の形を精巧に模したアシストロイドは高値でやり取りされるのだ。特に違法アシストロイドは、人の心に取り入りやすいよう愛らしい見目をしているものが多いから尚更。
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