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    chiocioya18

    @chiocioya18

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    chiocioya18

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    タケ漣です。リップクリームに嫉妬する話。
    作中のPはモバ雑誌Pのイメージです。
    (除菌ティッシュだとしても衛生的にどうなんじゃろ……と書いたやつも思ってるのでリップの貸し借りはおすすめしません)

    タケ漣チューしろ欲が爆発しました。

    #タケ漣
    rippleOnBamboo

    直接満たして足りない、と漣の直感が訴えている。何が足りないのかは分からない。
    昼寝から目覚めたばかりで睡眠は足りている。眠る前に食事も済ませたので腹もまあまあ満たされている。暴れ足りないといえばそうなのだろうが、今不足しているのはそれではない、気がしている。正体がわからない不満を抱えながら漣は事務所の窓からぼんやりと外を眺めていた。

    「漣、唇どうかしたの?」
    「あ?」

    漣の後ろのデスクでパソコンに向かっていたプロデューサーが不意に顔を上げたかと思えば、唐突に尋ねられる。指摘されて、漣は自分が無意識にずっと唇を触っていたことに気がついた。

    「痛い? 乾燥してるし切れちゃったのかな」
    「痛くねえ」
    「そうなんだ? でもちょっと荒れてるかな。リップクリームあるから使って……ハッ!? それはダメか…。新品、は買ってこないと無いな…」
    「なにグダグダ言ってやがる」

    ちょっと待って、と漣に断りを入れてからプロデューサーはデスクの上のウエットティッシュを引き抜いて念入りに手を拭う。そしてポケットから取り出したリップクリームを捻るとその手の甲に塗りたくりだした。2、3ミリ磨り減るくらいに往復させたところでようやく手を止める。

    「これくらい減らしたら大丈夫かな…。漣、嫌じゃなければ使って」

    差し出されたリップクリームを漣は受け取った。深緑色の小さな筒形。コンビニのあまり漣には用事のない棚──食べ物を置いていないコーナーに、吊るしてあるのを見たことがある。仕事やライブでメイクをしてもらうこともあるから使い方は知っているが、自主的に持つことはなかった。

    「なんでオマエは手に塗ってんだ?」
    「そのまま使うのはまずいかと思って……。やっぱり新品買ってこようか」
    「べつに、これでいーし」

    残りが短くなったリップクリームを唇に塗ってみる。少しだけスーッとする香りに、ペタペタした感触。漣は眉間に皺を刻んだ。

    「……ベタベタしやがる」
    「それが保湿効果なんだよ」

    そんな話をしていると、にわかに事務所の外ががやがやと騒がしくなる。学生たちが学校を終えて出勤してきたらしい。プロデューサーがそちらに構いに行ったので、漣はリップクリームをポケットに突っ込んだ。


    ======

    カラン。軽い音がフローリングに響いた。
    タケルの家、漣がベッドに押し倒された拍子にポケットから転がり落ちたリップクリームをタケルが拾い上げる。「こんなの使ってるのか」と心底意外そうに言いながら勝手に蓋を開けていた。

    「オレ様のシュミじゃねーけど。下僕が寄越しきたから、貰ってやった」
    「プロデューサーが? ……いつ」
    「今日の昼間」

    正直に答えながらあのペタペタを思い出して、漣は自分の唇に触れる。もう香りもベタつきも残っていないのを確かめてから視線を戻すと、タケルの目つきが変わっていた。瞳の奥で、暗く炎が揺れている。ぞく、と漣の背筋を興奮が走った。

    「は……っ、ん……」

    タケルの右手が漣の手首をベッドに押さえつける。利き手の左で漣の顎をつかんで強引にキスしてきた。唇を舐め取るようにタケルの舌が這い回って、漣は口が閉じられない。零れ落ちる唾液が顎を伝い、タケルの指も濡らしていった。執拗な口づけに漣の頭は霞がかかってくる。やっと口が離される直前に下唇を吸われて、わずかな痺れでようやく我に返った。

    「……く、はは。妬いてンのかよチビ」
    「うるさい。だって、間接キス……」
    「あ? カンセツ?」

    物を介してキスすること、というタケルの端的な説明で漣にも合点がいった。あの時手にリップクリームを塗っていたのはそういうことか。

    「下僕もチビもどーでもいいこと気にしやがる」
    「……どうでもよくはない」
    「オレ様が使う前に拭ってたからダイジョーブだろ。それに、」

    タケルの後頭部を掴んで引き寄せる。今度は漣から唇を重ねた。触れるだけの、激しくはないが長いキスを終えると、漣の口角は自然と上がっていた。

    「間接より直接のが強え」
    「キスに強いとか、ないだろ」
    「はァ? オレ様があるっつったらあるし」

    もう一回、と漣がねだる前にタケルから再びキスが降ってくる。タケルの唇が触れる度、足りないと感じていたなにかが漣の中で満たされていく。求めていたのはコレだと、本能で解ってしまった。
    声をあげる隙もないくらいに互いの唇を求める。投げ捨てられたリップクリームがベッドの下へ転がっていった。




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