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    chiocioya18

    @chiocioya18

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    chiocioya18

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    お月見な雨想。雨彦さんの機械狂わせ体質いつかどこかで書こうと思ってました。今でした。
    中秋の名月には遅刻しました。

    #雨想
    fleetingThing
    ##雨想

    夜なのに外が明るい。それほどに大きな月がぽっかりと空に浮かんでいる。

    「すごい月だねー」

    独り言ともとれる感嘆に、隣りに佇む人は「そうだな」と短い同意を返す。月が綺麗ですね、なんて言い回しは有名すぎて、意味を知っているに違いないこの人には伝わりすぎるから言ってやらない。
    窓を開けると秋の風が頬を撫でた。首から提げたスマホを空にかざす。

    「写真か?」
    「せっかくだからねー。上手に撮れたらSNSにでも上げようかなー」

    画面越しに月を見上げる。四角く切り取られた夜空の中、輝くまあるい金色。

    「ん…あれ?」

    液晶に不意にノイズが走る。チカチカした点滅、動かしていないのにブレる画面、映された月は紅く色を変える。

    「おっと…。こいつはまた俺のせいかもな」

    頭一つ高い位置から苦笑が漏れる。雨彦さんは電子機器と相性が悪いのを自他ともに認めていた。

    「ちょいと席を外しておくから、ゆっくり撮るといい」

    ゆらりと長身を揺らして雨彦さんが窓辺から離れようとする。「待って」とその袖を引いて引き留めた。スマホを伏せる。

    「…いいのかい。写真」
    「いいよ。写真より実物を見ればいいんだから」

    だから、一緒に眺めませんかー。

    そう誘えば、雨彦さんは一歩、二歩、こちらへ近づいて。さして大きくもない窓は二人で並ぶと少し狭いけど、僕らは身を寄せあうようにして月を眺める。
    まるくて大きな明るい月。月明かりに照らされた、隣りの犀利な横顔。こんなに近くにいると、口に出すつもりはないのに伝わってしまいそう。

    ねえ雨彦さん。月が綺麗ですね。




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    chiocioya18

    DONEタケ漣冬の収穫祭!でネップリ公開していたバレンタイン話です。たい焼きデート。
    芸能界は常に行事を先取りしている。テレビやラジオは放送日の何ヶ月も前に録ることもざらにあるから、季節の巡りがカレンダーよりも先走っているように感じてしまう。
    バレンタインデーの特番収録をこなしたのが先月のこと。ファンのみんなからのチョコは連日事務所に届いていて、だから今日が二月十四日当日だということも、きっとコイツは忘れているに違いない。レッスンからの帰り道、来るかと訊けばのこのこと家へついてくるのもただの気まぐれなんだろう。
    コイツにとってバレンタインデーは特別な日ではない。それはわかっているけれど、それでも。カバンの中に忍ばせたチョコレートを、渡すタイミングを見計らっている。
    ちゃんと綺麗な箱に入った、コイツのために用意したチョコだ。小さくて量は大して入ってないから、果たしてコイツが喜ぶのかは想像できない。買った直後もここ数日間も、やっぱり渡すのはやめておこうかと何度も何度も思ったが、買う時にどれだけ恥ずかしかったかを振り返ると悔しくて、諦めきれずに持ってきてしまった。そのくせまだ渡せずに持ち歩いているのが情けない。
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    plenluno

    DONE1/14「そういうことにしてるつもり!」8~New Year Party~展示作品②
    読んでいただきありがとうございました!ぜひアフターでもお楽しみください!
    元相棒と野球拳。
    魔法舎です。最後だけ微微えちです。
    まほやく世界にじゃんけんが輸入されてたのを公式で確認した(どのストか忘れた)のでそのあたりを修正したりしています。
    それだけじゃ足りない 「野球拳?」
     とある晩酌の夜、ネロは耳慣れぬ単語を反芻した。グラスの酒をあおって身じろぐと黒塗りのソファが小さく鳴く。隣に居るブラッドリーは酒を呑みながらネロ特製のつまみに舌鼓をうっていた。
    「前の賢者に聞いたんだよ。じゃんけんして、負けた方が服を1枚脱ぐらしい」
    「―っ! はぁ!?」
    ネロは酒を吹き出しそうになって何とか堪えた。
    「だから、負けたら服脱ぐんだよ。」
     ネロは賢者の世界のじゃんけんについて軽く反芻する。握りこぶしの形のグーは石、手を開いたパーは紙、人差し指と中指だけを立てたチョキはハサミを表す。グーにはパーが強く、パーにはチョキが強く、チョキにはグーが強い三つ巴。3種の手の形と関係さえ覚えれば簡単だ。こちらの世界の似た遊びに賢者が反応したのをきっかけに話が盛り上がって以来、魔法舎では賢者にあわせてじゃんけんが使われることが増えた。子ども達が夕飯の献立で揉めたときなどはじゃんけんの勝敗ですんなり決まるのでネロにとっては便利だった。
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