Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    liligoman

    @liligoman

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 3

    liligoman

    ☆quiet follow

    『とあるカルデアととあるカルデアのマスターと道満。』※CPでありません。
    (一枚絵の予定だったけどメモっていたら長くなっちゃったので絵に起こすの諦めたネタです。)


    新米マスターの俺に蘆屋道満を連れているフレンドが出来た。
    彼女と道満の関係は長く、彼のことを語り合える友人が欲しかったらしく今度お互いの道満を連れて会いたいと願い出てきた。

    「と、言うことだから一緒に来てほしいんだ」

    自分も道満と一緒に人理修正に励む一カルデアのマスターだ。彼は頼れるパートナーで何度も助けられてる。

    「承知致しました。マイマスター」

    そんな彼の勇姿を語り合えるのなら願ってもいないことだった。

    「いってらっしゃい先輩」
    「いってきますマシュ」


    ーーーーー


    「マスター、あの方がマスターの『ふれんど』とやらですかな」
    「うん…多分…」

    普段交わることのない並行世界の人間同士が会えるのはどこの空間からも切り離された孤立した白い空間。特別な人間でしか来られない場所のようで時間の進みも歪んでいるとダ・ヴィンチちゃんが言っていたっけ。
    自分から少し距離のある場所に女の子と大柄の男が立っていた。身長差があるせいか男の方が余計大きく見え何もない白い空間でそれは余計に強調される錯覚が起きた。だがすぐにそれは錯覚でないことが証明された。

    「あ、いたいた!顔を会わせるのは初めてだよね!初めまして。あなたたちに会うのを楽しみにしていたんだ」

    明るい口調の女の子が駆け寄って来ると後ろからのそのそと男の方も歩み寄ってきた。
    この人が俺を誘ったマスターなら後ろから付いてくる男は蘆屋道満?なら大柄なのも錯覚ではなかったな。
    髪型がザンバラで上半身にお札を無数貼り付けていて自分の連れている道満とは雰囲気が違っていた。
    これが霊基再臨というものなのだろうか。

    「初めまして!こちらこそ誘ってくれてありがとう」
    「マスターになってまだ日が浅いんだってね。この先色んなことが起こってくるかもだけど負けちゃダメだよ!」

    彼女がニコリと笑うと遅れてやって来た男が彼女の頭上に顎を乗せた。重たいと彼女は抗議しているが満更ではなさそう。

    「あの…その人がキミのところの道満…?」

    彼女の頭に前屈みになりながら顎を乗せている彼は言葉は発せずニタリと笑顔を向けてきた。少し気味が悪いと感じ俺は隣に立って様子を伺っていた道満に視線を向けた。

    「どうやら、そのようです。この者の霊基は拙僧とおなじ…」

    いつの間に道満の目の前に現れたザンバラ髪の道満(以下ザンバラと表記)に驚いて一瞬言葉が詰まったようだったがすぐに

    「いや…何か混じっているな…?」

    目を細めザンバラを疑視する道満。何かとはなんだ。
    ザンバラは目を細め犬歯が見えるほど口角を上げ、互いの鼻先と鼻先が付きそうなほど顔の距離を詰めた。

    「道満ストップ。あまり新人くんたちを困らせたらダメだよ。」

    彼女が声をかけるとザンバラはふわりと軽い足取りで自分のマスターの元へ戻っていった。その後「食べちゃダメ」と囁く彼女の声が聞こえたが俺は意味が分からなかった。

    「道満、大丈夫だった?」
    「ええ、何を考えているかは分かりませんがこちらに危害を加えるわけではないようです。おそらく我々を弄んでいるのでしょう。まったく、趣味が悪い。まぁ気持ちは分からなくもありませんが」
    「道満たまに人格を疑うようなこと言うよね」
    「ンンンン誉め言葉として受け取りましょう」

    この道満がどこまで本気なのか少し呆れていると彼女がこちらに視線を向けていたことに気付いた。その顔がどこか悲しそうに見えたが次に明るい声が聞こえたので気のせいだったのだと思った。

    「よし、じゃあ今日の醍醐味!ウチの子語り合い大会といきましょう!」




    あれからどのくらい時間が経ったのか、俺と彼女は今まで道満と旅をした思い出や互いのカルデアで起きた事件などさまざまな話で盛り上がった。彼女の話は時々言葉を濁すような曖昧なところもあったが、それでも聞いていて楽しかった。
    マスター同士で盛り上がっている間、二人の道満は少し離れた場所で術の比べ合いをしたり、静かに座っていたり、じゃれあったり(ザンバラが一方的に)、そこそこ楽しんでいるように見えた。

    「キミも道満と色んな経験をしてるんだね。話を聞いてたらなんだか初心に帰った気持ちになったよ!」
    「そっちも、俺の創造力が追い付かないほどの大冒険をあの道満と一緒に乗り越えてきたんだね。ハハ、先輩マスターは凄いや!」
    「先輩だなんて大袈裟大袈裟!キミよりちょっとマスターになるのが早かっただけだよ!」

    笑いながら手を横に仰ぐ彼女が少し黙ったあと、笑顔ではあるが先程より真面目な顔付きになり言葉を続けた。

    「……ほんとに、これから色んなことがきっと起こる。…それでも……ううんやっぱり何でもない!」
    「そこでやめる?!すごく気になるんだけどー」

    問い詰めようとしたら、これは私の私情だからキミに押し付けるものではないと言われ、気にはなったが相手も言うことに気が引けるようなので俺は折れた。

    ドン

    と突然大きな音が後ろから聞こえて目を向けてみるとさっきまで静かだった道満たちがまた術比べを始めたようだった。

    「ンンンンレベル差だかなんだか知らぬがおぬしの余裕な態度っ、儂のくせに晴明を思わせる!なんと腹立たしい!」

    この声はきっと俺の道満だな。経験値の差があるのは仕方ないさ。と心のなかで苦笑いしていたらふと気になることが浮かび、その答えを得ようと彼女に問い掛けた。

    「ねぇ、キミの道満はどうして喋らないの?」

    彼女たちと会ってから一度もザンバラの話す姿を見ていなかった。うちの道満にちょっかいを出すときも無言だった。

    「……やっぱり気になった?」

    無理に笑顔を作ろうとしているのか彼女の表情はぎこちなかった。

    「話せないことなら無理に言わなくていいよ」

    少し沈黙を置いてから彼女の口が開いた。

    「ううん…キミには言ってもいいかな。今回、私がキミたちと会いたかった理由にも繋がってるし」
    「…」
    「喋らないんじゃなくて喋れないが正しいかな。声がね、無くなっちゃったんだよ。昔はお喋りで声も大きくてうるさいって思うこともしょっちゅう…」

    彼女は空気を重たくしないように明るい口調で話しているけど声は少し震えていた。

    「それがね、ある日レイシフト先で私がドジ踏んで死にそうになったことがあって、それから道満は声を失ったの。」
    「…どうして」

    彼女は淡々と語り始めた。


    *****


    ある日のレイシフト先、私は敵の罠にはまり大怪我を負った。味方とは散り散りにされて私一人敵に囲まれた状態、大量の血が流れ手足に力は入らないし視界も霞んでどんどん寒くなっていった。あー私はここで終わりなんだと確信した。

    「(…ごめんねみんな)」

    内心でそう呟き目を閉じたとき、自分の間近で液体が飛び散る音と悲鳴が耳を突いてきた。目を閉じたまま音だけを頼りに辺りが静かになったのを察した、と思ったら体に浮遊感を覚え、すぐに誰かに抱き抱えられたのだと分かった。

    「マスター、マスター、到着が遅くれて申し訳ありません。起きてくだされ。目を開けてくだされ。」

    ああ、この声はよく知っている。

    「…マスター…死ぬことは赦しませぬぞ。貴女は儂を呼び散々使い回したでしょう。そんな貴女がこんなところで終わることはありえません。…あってはなりません。…これからも、共に……」

    こんなに震えた声は始めて聞いたかも。
    と呑気に考えていたらぽたぽたと顔に何かが落ちてきた。
    まさか泣いてるの?

    「………死んでは……なりませぬ……」

    声にならないような掠れ声と強く抱き締められる感覚を最後に私の意識は薄れていった。




    「………イ……ンパ……センパ…」

    聞き慣れた声、あれ、でも私死んだよね。
    重い瞼をゆっくりと開けると見慣れた天井と私を見下ろすマシュがいた。

    「…マシュ?…え、なんで…マシュも死んじゃったの?」
    「先輩!ああ、良かった、本当に良かった…」

    私の手を握りながらマシュが泣き崩れた。あれ、もしかして生きてる?ここはカルデアの医務室で私はベットで寝ているのか?状況を把握したくて顔を横に向けるとカルデアのメンバーたちがぞろぞろと近寄ってきた。

    どうやら私は一命を取り止めたらしい。あのレイシフト先で散り散りになったサーヴァントたちが皆集ったときには私の傷は塞がっており安定した寝息をたてていたらしい。その後直ぐにカルデアに戻り医務室へ運ばれたとのこと。きっと道満が治療してくれたおかげで私は助かったんだ。そういえば帰ってきてから道満にまだ会っていない。どこにいるのだろう。

    「…マシュ、道満は?はっきりとは覚えてないけど道満が助けてくれたはずなんだ!」
    「…あ、その、道満さんのことなのですが…」

    歯切れが悪い。もしかして道満は敵にやられて帰ってこれなかったのか?鼓動が早くなり汗が滲み出る。

    「彼、乃至彼女のことは私から話そう。」

    ダ・ヴィンチが近くにあった椅子を引っ張りベットに腰掛けた私の前で椅子に座った。

    「帰ってきた道満の様子がおかしかったので検査したんだ。そしたら霊核が…なんて言ったらいいのかな、傷付いていたとは違う。けど…なんとも歪で脆くなっていた、と言うしか…。」
    「歪で脆く?道満は大丈夫なの?今どこに?」
    「今のところは大丈夫さ。さっきアスクレピオスに診察室へ連れ込まれてたから色々と問い詰められてるんじゃないかな。」
    「そっか…でも様子がおかしいって」
    「うん、それがさ、どうしてか一言も話さないんだよ。」

    本人も原因が分からないらしく、ジェスチャーで声が出せないことを訴えたらしい。

    「おそらく、霊核の異常のせいだろうね。ただその異常の原因が分からなくて今すぐに治してあげられないんだ。ごめんよ」「ううん、ありがとうダ・ヴィンチちゃん。マシュも付き添っててくれてありがとう。」
    「…はい」

    浮かない顔をしたマシュに心配をかけて申し訳なくなった。

    暫く休んでから道満に会いにいった。たぶんいつものように私のマイルームにいると思い、マイルームへ足を運んだ。
    扉が開くと黒曜石ような艶やかさの瞳と目が合った。
    無事とは聞いていたが実際自分の目で確認しないと安心できなかった。ホッと胸を撫で下ろしマイルームへ入る。

    「ありがとう、あのとき助けてくれたの道満だよね。声ちゃんと聞こえてた、私情けないね、まさか道満に励まされるなんて」

    自分はもう大丈夫だと伝えるために笑って見せたが返答はない。

    「……本当に声が出なくなったんだね…きっと私のせいだよね…だってあのときはちゃんと話せてた…」
    「…」

    道満はガサガサと筆と紙を取り出し何かを書き始めた。筆を止めると紙を見せてきた。

    (ご無事で何より、マイマスター。拙僧の声のことは気になさらなくて大丈夫です。)
    「…ごめん。…きっとすぐに治るよ。カルデアの医療班は優秀だし私も手伝う!」

    また道満がすらすらと文字を綴っていく。

    (いいえ、本当にお気になさらないでくだされ。おそらくこの声はもう戻りません。)

    え、どうして。

    (そしてそれは貴女のせいでもございません。拙僧自信が受け入れたことです。)
    「どういうこと、分からないよ。霊核の異常が原因なんでしょ。それが治れば…そうだ、令呪、令呪を使えば回復できるはず!」

    私の右手に大きな手が添えられた。首を横に振り添えた手を離し再び文字を綴る。


    拙僧はあのとき今までに味わったことのない恐怖が自信の中で渦巻くのを感じました。貴女を失うのが酷く怖かったのです。なんとかマスターの命を繋ぎ止めたくて残りの魔力の全てを注ぎ治癒の術式を無我夢中で組みました。不思議なことに今まで成功したことのない治癒術がそのときは発動するという奇跡が起きたのです。拙僧はその時確信してしまったのです。誰かを大切だと思えること、それを失いたくない、守りたい、ああ、これが他者を想う「愛」なのだと。


    それから声が出なくなったと。
    元々愛を持たずに形成された霊基に「愛」という感情は異物であり不要なものだった。おそらく今まで無自覚だが見て触れてきた愛情に道満は少なからず心を動かされていたのだろう。しかしそれを自覚することで愛という概念が固化され霊核に異物と明確に判断されてしまった。
    霊核にとって異物は悪性腫瘍のようなものなので取り除かなければ霊核は弱りいつかは壊れてしまう。すでに声を失うという支障が出ており身体にも影響を及ぼしている。
    本人はそれを知っているにも関わらず異物である「愛」を受け入れたのだと言う。


    「そんな…」

    自分すら愛せなかった者が慈しむ心を手に入れた瞬間、その者にとってそれが毒であったなんてあまりに残酷ではないか。

    私はあまりの悲しみで俯いてしまった。肩を軽く叩かれ顔を上げると目の前の彼は優しく微笑みかけてきた。その顔に後悔の色は微塵も感じずただただ優しく微笑んでいた。
    私は堪えきれず彼の胸に顔を埋め声を上げて泣いた。


    *****


    「まだ声を失う以外に支障は出てないけど今も毒はどんどん彼の霊核を蝕んでいってる。」

    嘘だといいのにと彼女はため息混じりにこぼした。
    ザンバラはマスターを助けるために自分を犠牲にし、今でも「毒」に犯されていて声を失ったのも毒の影響だと彼女は話してくれた。
    彼女は「毒」と言っているが真実は別にあるようにも感じた。おそらく俺より先の未来を行く彼女がこっちの世界の未来を配慮して言葉を選んでくれたのだろう。そこから感じ取るに蘆屋道満という男には秘密がありそうだ。普段から匂わせてはいるから薄々気付いてはいるけど。

    「…っと、辛気臭い話に付き合わせちゃってごめんね!せっかく楽しくお話してたのに台無しにしちゃった」
    「そんなことないよ。キミと道満が強い絆で結ばれていることが分かったし、俺たちも負けてられないなって!」
    「そっか、ありがとう」

    彼女に最初に会ったときの明るさが戻ったようで少し安心した。

    「ところで、今日道満を連れてきてって言ったのって、もしかして、声を聞きたかったから…?」
    「…ヘヘ…当てられるとちょっと恥ずかしいな。でもそれだけじゃないよ。他のカルデアの元気な道満を見てみたかったんだ。多分その子もちゃんと愛してもらえてるって感じたかったのかな。なんてね」

    なんだか気になる言い方ではあったがはぐらかれそうと思ったので流した。

    「あ、そうだ。さっきキミが道満に「食べちゃダメ」って言ってるのが聞こえたんだけど…あれどういう意味?」
    「?」

    何の事か理解していないようだったが、すぐに思い出したようで

    「ああ、あれね!実はここに来る前にうちの道満が、新鮮な霊基を食らえば少しは霊核を保てるかもしれません!、って言ってたから冗談と分かっていたけど一応釘を指しておいたの」

    ハハハと笑っているがこっちは笑い事ではない。自分の道満の安否を確認するために視線を向けると術比べは終わっていて今度はじゃれ合いをしていた。と言うよりザンバラが道満にプロレス技をかけている。

    「ねぇ、霊核が危ないのにあんなに動いて大丈夫なの?」

    先程から術を撃ったり避けたり激しい動きをしている。魔力消耗は危険なのではないのか。

    「よく分からないけど直接霊核にダメージが入らなければ大丈夫みたい。」

    消耗された魔力も私が供給すれば元に戻るし!と随分呑気に答えるものだから先程の話の真剣さが薄れていきそうだった。


    「だいぶ長居しちゃったね。私はまだまだ話していたいけど貴方の道満がもうウンザリしているようだし」

    再び道満の方を見るとザンバラの一方的なじゃれ合いに付き合わされて怒りと疲労の表情をしていた。ザンバラはと言うと疲労とは程遠そうな余裕な顔をしていた。

    「今日は本当にありがとう。色々話せて話も聞けてとても楽しかった!…久しぶりに道満の声も聞けた。」

    名残惜しそうに道満たちの方を眺めている彼女に、考えるより先に言葉が出ていた。

    「また会おう」
    「え」
    「声を聞きたくなったらまた四人で会おう。あ、こっちの道満の承諾を貰わないとだけど…きっとアイツも分かってくれる。」
    「…分かってくれる、か……うん、パートナーは信頼関係が大事だもんね、うん!」
    「再会の日までに俺たちはもっと強くなってキミもキミの道満も驚かせてやるさ!」
    「その心意気いいぞ!大切にしてね」

    その言葉を言い切る前にザンバラがふわりと彼女の横に現れた。少し遅れてからゆったり歩み寄って来ていた道満も俺の隣で停止する。
    それを合図のように足元から光が差し体を包んでいく。

    「じゃあ、また会おう、先輩!」
    「キミにそう呼ばれるのちょっと恥ずかしい!でもまぁ…頑張れよ後輩!」



    「(ほんとにこれから色んな事がキミの身に起こってくる。それでも……キミはキミのパートナーをどうか嫌いにならないであげて)」



    視界が白い光に覆われ目の前の人影が完全に消えた。数秒後には見慣れた風景と聞き慣れた声が迎えてくれた。


    ーーーーー


    「おかえりなさい、先輩」
    「ただいまマシュ」







    *****


    人気の無い廊下を一つの影がゆったりと歩いている。一歩足を動かすごとに髪飾りがチリンと小さく鳴った。

    ーあの子の道満が話せなかった理由は毒の影響だったんだってー

    「…毒、か……奴の霊核に取り巻く『アレ』を毒と称すか」

    妖艶で黒曜石のような瞳の奥に赫が灯る。

    「まったく、あんな不出来が儂などと申されては困りますな。」

    ああ、虫酸が走る。


    *****




    おしまい
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💴💴💴👍😭💴❤👍
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    liligoman

    MEMO『とあるカルデアととあるカルデアのマスターと道満。』※CPでありません。
    (一枚絵の予定だったけどメモっていたら長くなっちゃったので絵に起こすの諦めたネタです。)


    新米マスターの俺に蘆屋道満を連れているフレンドが出来た。
    彼女と道満の関係は長く、彼のことを語り合える友人が欲しかったらしく今度お互いの道満を連れて会いたいと願い出てきた。

    「と、言うことだから一緒に来てほしいんだ」

    自分も道満と一緒に人理修正に励む一カルデアのマスターだ。彼は頼れるパートナーで何度も助けられてる。

    「承知致しました。マイマスター」

    そんな彼の勇姿を語り合えるのなら願ってもいないことだった。

    「いってらっしゃい先輩」
    「いってきますマシュ」


    ーーーーー


    「マスター、あの方がマスターの『ふれんど』とやらですかな」
    「うん…多分…」

    普段交わることのない並行世界の人間同士が会えるのはどこの空間からも切り離された孤立した白い空間。特別な人間でしか来られない場所のようで時間の進みも歪んでいるとダ・ヴィンチちゃんが言っていたっけ。
    自分から少し距離のある場所に女の子と大柄の男が立っていた。身長差があるせいか男の方が余計大きく見え何もない白い空間でそれは余計に強調される錯覚が起きた。だがすぐにそれは錯覚でないことが証明された。

    「あ、いたいた!顔を会わせるのは 7254

    recommended works