受講している学科の教授に捕まり、いつもよりも帰宅時間が遅れてしまった。精神的に疲れてしまったのか、夕食を準備する気力はない。
デリバリーで何を頼もうかと考えながら解錠してドアを開けると、きちんと並べられた一足の靴。
これは司くんのものだ。
履いていた靴を脱ぎ捨てて、いつの間にか習慣となった手洗いとうがいを済ませリビングへ向かう。
「司くん!」
「おかえり!」
振り向いた司くんは、寧々とえむくんからプレゼントされた一人用のビーズクッションに埋もれていた。
「ただいま」
三日ぶりに見た司くんの笑顔に、萎れていた気分が持ち上がる。
たった三日、されど三日なのだ。
「それ」
「すまん、肌寒くて借りてしまった」
「構わないけれど……」
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