ナイイコ♀ 151の様子がおかしい。心配する気は毛頭ない。朝飯時にはやれニンジンケーキがいいだのバナナをくれだとか言いながら冷蔵庫を勝手に漁る女であったはずだが、今日はやけに大人しく919の作った味噌汁を飲んでいた。その顔もどこかぼんやりとしている印象だ。何よりそこそこ彼女が気に入っているらしい白米に箸をつけない。味噌汁を飲む女の息遣いに異変を感じた919は、ふと151のすぐ傍まで足を運んだ。
「おっと、……919か」
急にこちらへ近づいてきた919を不思議に思ったのか、151が片耳を持ち上げながら上目遣いで見上げている。
——常時より潤んだ瞳。白い頬が若干赤い。よく見ると額にうっすらと不自然な汗が滲んでいる。
919の大きな手が、151の額にそっと触れた。
「……テメェ寝てろ」
「ん? どうした?」
「どうしたってお前……熱あんだろ…」
つーか何でそんな薄着でウロウロしてんだよ。身体冷やすなっていつも言ってんだろうが。クソが。919は内心女に苛立ちながらも、女を部屋へ返す。
「クソ……何やってんだ俺は……あんな奴のために…」
口では悪態を吐きながらも、それに相反するようになかなか手際の良い男の手が、女のためのやさしい料理を作り上げようとしていた。