手ここは、ロナルド吸血鬼退治事務所。
ヒナイチは「監視任務」という名目で、吸血鬼のドラルクの行動を観察していた。だが、今その任務は形ばかりのものとなり二人は並んでソファに座りゲーム画面に向かい合っていた。
「ほら、ドラルク!そこだ、もっと左だ!」
「分かっているとも。だが君の指示が的確とは言い難いな。」
ドラルクは落ち着いた口調で応じながら、手元のコントローラーを操作している。
画面には敵を倒すために必死で立ち回るキャラクターたち。横目でドラルクの手元を見たヒナイチは、思わず目を奪われた。
細く長い指がコントローラーを器用に操り、滑らかに動く。その指の関節や筋が動くたびに、どこか目を引く美しさと力強さを感じた。吸血鬼特有の蒼白い肌だが、その冷たい色味が逆に際立たせる男らしい骨ばった形状。
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