テンポよく手渡されるままに一通りのスキンケアをしてから、ちょっぴり湿ったヘアバンドを外す。なにやらじっとこちらを見ているモモに視線を向けると「今日もイケメンで見惚れちゃった」とかわいい言葉が返ってきた。
「モモこそ、今日も……」
「ん?」
甘やかな色をした大きな瞳が、真っ直ぐに僕を見つめる。じわ、と頬が熱くなって、その先を言えずに口ごもった。
「なんでもない」
「え!? なになに、めちゃくちゃ気になるんだけどッ」
また、今日も言えなかった。最近の僕ときたらずっと“こう”だ。モモに対して「かわいい」だなんて何百回、いや何千回と言ってきたのに、近頃はめっきり言えなくなってしまった。
「ねえ、ユキ」
「……なに?」
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