長い睫毛が伏せられて、それから意思の強い瞳がきらめく。ネクタイをぐいと解いて、ユキは低く尋ねた。
「これで帰れる、とか思ってる? あんたの仕事、まだ終わってないから」
前髪の隙間から、意地の悪い笑みが覗く。愉快そうな表情に、ドクンと胸が高鳴った。
「手伝ってくれるならなんでもするって、あんたさっきそう言ったよね?」
真っ直ぐに見つめる視線に射抜かれて、深夜のオフィスに言葉もなく立ち尽くした。
*
「キャー! ユキ、イケメンすぎるよーーッ!」
「わ、何?」
あまりの格好よさにクッションをギュッと抱きしめる。耐えきれずに叫び声を上げたところで、キッチンから驚いた声が聞こえてきた。
イヤホンを耳から引き抜いて、背後を振り返る。当時よりも随分と髪が伸びたユキに向かって、ごめんごめん、と笑ってみせた。
12637