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    kurumi_mochi53

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    kurumi_mochi53

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    類司
    推しカプシチュガチャから友達に選んで貰ったお題:「眠れない夜に類に会いたくなって、自分がこんなに寂しがり屋だとは知らなかったと驚く司」
    GW中に書くと言っておきながら普通に間に合わなかったっていう…

    現在時刻午前3時半。
    規則正しい生活を心がけている司には珍しく、日付を超えても尚眠りに落ちる事が出来ないままこんな時間になっていた。さぁ寝るぞ、と目を瞑っても全く眠くならない。

    体調管理を常に心がけている司にとっては由々しき自体であった。なにせ夜更かしは健康の大敵なので。
    夜遅くまで起きた所為で免疫が落ちて体調を崩してしまうなんて事があればショーの練習に支障をきたすかもしれない。更に、それがもし咲希に移るようであれば咲希の貴重な青春のひと時を奪ってしまう可能性もある。
    ──なんて馬鹿馬鹿しい連想ゲーム。
    たった1日夜更かしした程度で連鎖的に不幸が起きる訳がないだろうに、それでも漠然とした不安が付き纏って消えないのは。誰もが当たり前に来ると思っている「明日」は確約された物ではないのだと知っているから。夜の帳がその不安を増長させているに過ぎない。

    そうして小さな不安を抱えて眠れないまま、永遠とも錯覚してしまいそうな時間だけが過ぎていくなか、ふと、類に会いたいと思った。とはいえ時間が時間だ、会うのは無理でもせめて声だけでも聞けたら、なんて思ってしまう。
    それもこれも類が司を事あるごとに甘やかしてくるから、だからこんなにも類に対して我儘になってしまった。等と自分に言い訳をしながらスマホを手に取りホーム画面を開く。
    当然家族は皆寝ている時間だ、なるべく音を立てたくない。
    まずはイヤホンを入れて音が漏れない様に。念には念をと布団の中に潜り込んで音が漏れにくいように細心の注意を払って、電話アプリの連絡先から類の項目を開いて電話番号を押す。

    電話の呼び出し音がイヤホン越しに鼓膜を揺らしてから何度目かの時。そもそもこんな時間に電話をかけるのは迷惑じゃないか、類は機械弄りに夢中になって夜中まで起きている事がよくあるとは聞いているが、今日この時間タイミングよく起きているとは限らないのでは、と今更ながら思い至る。
    電話をかける前に気付くべきだった、それはその通り。しかし類と話したい気持ちばかり急いてしまってそこまで気が回らなかったのは完全に司の失態だった。やはり夜更かしなんてする物ではないと考えながら急いで呼び出しを終わらせてしまおうとした瞬間、
    「…もしもし?」
    ほんの一瞬、びくりと肩が跳ねて心拍数が少し上がったのはきっと気のせいなんかじゃない。
    完全に誤算。繋がったらいいな、とは思いつつも本当に繋がるとは思っていなかったのだ。どう切り出していいか分からず黙り込んでしまう。そんな沈黙をどう捉えたのか。
    「司くん…?何かあったのかい?」
    心配そうな声色に、早く返事をしなければと少し慌てる。ただでさえ司の声は大きいと言われがちだから、自分でも思っている以上に声を潜めるよう努めて返事をする。
    「……すまん…こんな時間に電話をかけておいてなんだが、特に何かあったというわけじゃないんだ」
    ただなんとなく眠れなくなって類に会いたいと思った事。こんな時間に会うのは無理だろうから声が聴きたくなった事。…それに、実際声を聴いたらやっぱり会いたくなってしまった事。
    寝不足で思考回路が上手く回っていない事も手伝ってか赤裸々に想いを零していく。
    「そんなに会いたいと思ってくれたなんて…!」
    司の告白を聞いて感極まったように言い放たれた後、向こうからの音声が途切れる。

    「……おーい、類?…寝たのか?」
    おそるおそる尋ねるとすぐに返事が返ってきた。
    「あぁ、ごめんね。余りにも嬉しかったから余韻に浸ってしまって」
    そんなに類が喜ぶような事を言っただろうか、と疑問には思いつつ続きを聞く。
    「そうだね…明日は、と言ってももう今日と言った方がいいかな。とにかく、学校もなければショーの練習も運良く休みだ」
    だから、そんなに会いたいと思ってくれていたんだし実際会わないか、と。
    「い、良いのか…?」
    「勿論だよ。それに、珍しく会いたいと言ってくれる司くんが一体どんな顔してるか見たいし…ね?それじゃ、また後で」
    そう楽しそうに言われて通話を切られる。
    通話が終わってしまったのは少し残念だった。しかし、自分はもしかしてとんでもなく恥ずかしい事を口に出してしまったのでは、という事実の方に気が気ではなくなった。
    (るいのばか…!どんな顔して会えば良いっていうんだ…?!)
    羞恥心を表出させて騒音を出すわけにもいかず、脳内でぐるぐると考えながら布団の隙間から夜が明けていくのを眺めたのだった。


    ──────


    「で」
    「で?」
    「あれから一睡も出来ないまま類の部屋にお邪魔している訳なんだが」
    そう言う司の目の下には薄らと隈が出来ている。
    「うんうん、いらっしゃい司くん。それじゃ今日はよろしくね」
    「あ、あぁお邪魔します…じゃなくて!なんでにやにやしてるんだ?!」

    おっといけない。こうやって素直に甘えてくれる様になったのが嬉しくてつい頬を緩ませてしまったようだ。
    でもそれも仕方ない事だと思って欲しい。昔はたとえ甘えたいと思っていたとしても「なんでもない」の一点張りで隠そうとしていたし、その割には時折視線を感じて焦ったい思いをさせられていたのだ。
    司の方は類が視線に気付いていないと思っていたのだろうが、そんな恋人のいじらしいサインを小さい物だったとしても類が見逃す訳がない。
    最初の頃は指摘をする度に慌てて大袈裟な身振り手振りをして誤魔化そうと必死になっていた所も可愛い物ではあった。…まぁ慌てる時点で黒だと自白している様な物なのだけれど。
    そこから甘えるのは悪い事じゃない、むしろ説得を続けてようやく司の方から頼ってくれる様になったというのだから少し位にやけてしまうのは仕方ないと思う。

    「というか相変わらず物で溢れかえっているなこの部屋は…一体どこで寝る気なんだ」
    「え?その辺りに散らかっている演出用の道具やロボットやらを一旦端に寄せて布団を敷くつもりだよ?」
    「おい待て、今自分で散らかってるって言ったよな?自覚があるならきちんと片付けろ!!」
    後は端に寄せるだけなのは片付けるとは言わないから整理整頓をしろ、とも言われた。
    弁明をするなら、類としては何が何処にあるかきちんと把握しているつもりなのだ。更に言うと、散らかっているように見えてその実効率良く作業をする為に配置しているという側面もあったりする。…ただし物が多いというのも動かしようのない事実ではあるが。

    慣れない徹夜をしている割には元気な所も可愛いなぁなんて考えつつ、司の注意を右から左に流して布団を1組敷いていく。
    「ほら準備出来たよ司くん。さぁ、寝ようか」
    「はぁ…オレの話半分も聞いてなかっただろ…って1組しか布団を敷いていないが寝る場所はどうやって決めるんだ?ジャンケンか?」
    ソファで寝るか布団で寝るかの2択か、そう言って首を傾げる司に、別々の場所で寝るなんて選択肢は類の中にはなかった。
    「何を言っているんだい、2人とも布団で寝るに決まってるじゃないか。添い寝だよ、添い寝」
    「…………は?!」
    添い寝発言を聞いてたっぷり間を置いたかと思えば耳まで顔を真っ赤にして驚いている。
    まぁ、男子高校生が2人で寝るには狭いかもしれないがそんな物は些細な事だ。
    「そ、そもそも!この年になって添い寝はどうなんだ!?別々に寝るべきじゃないか…?!」
    年齢を引き合いに出して添い寝を否定しようとしているけれど、それは司なりの照れ隠しだろう。
    「そんな…折角用意したのに……それとも、一緒に寝るのは嫌かい…?」
    司は類に甘いからこう言えば受け入れてくれるに違いない。ずるいと言われようが構わない、経験則から導き出した最適解だ。
    「ぐぅ…し、仕方ないな今日だけだぞ」
    やはり予想に違わず受け入れてくれる。それに渋々受け入れた風に見せかけているつもりだろうが、視線は揺らいで蜂蜜色の瞳の奥に期待を滲ませているのはお見通しだ。

    部屋の照明を落として外の光もなるべく入らないよう遮断する。
    先に布団に入り込んで司を手招くと、先ほどまでの形ばかりの抵抗は鳴りを潜めたようで手招きに大人しく従い布団の中に入る。向き合って布団の中にいると目が合って、どちらともなく笑みが溢れた。
    とん、とん、とん。
    司に安心して眠ってもらうのが今日の目的だから、と優しくリズムを刻んでいると段々瞼が重くなってきたのか瞬きの回数が増え始める。そうしてすっかり瞼を閉じ切ると、すぅすぅと寝息を立てて眠りに落ちていった。
    あどけない寝顔を眺めて幸せを噛み締めながら類も瞳を閉じた。
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    kurumi_mochi53

    DONE類司
    推しカプシチュガチャから友達に選んで貰ったお題:「眠れない夜に類に会いたくなって、自分がこんなに寂しがり屋だとは知らなかったと驚く司」
    GW中に書くと言っておきながら普通に間に合わなかったっていう…
    現在時刻午前3時半。
    規則正しい生活を心がけている司には珍しく、日付を超えても尚眠りに落ちる事が出来ないままこんな時間になっていた。さぁ寝るぞ、と目を瞑っても全く眠くならない。

    体調管理を常に心がけている司にとっては由々しき自体であった。なにせ夜更かしは健康の大敵なので。
    夜遅くまで起きた所為で免疫が落ちて体調を崩してしまうなんて事があればショーの練習に支障をきたすかもしれない。更に、それがもし咲希に移るようであれば咲希の貴重な青春のひと時を奪ってしまう可能性もある。
    ──なんて馬鹿馬鹿しい連想ゲーム。
    たった1日夜更かしした程度で連鎖的に不幸が起きる訳がないだろうに、それでも漠然とした不安が付き纏って消えないのは。誰もが当たり前に来ると思っている「明日」は確約された物ではないのだと知っているから。夜の帳がその不安を増長させているに過ぎない。

    そうして小さな不安を抱えて眠れないまま、永遠とも錯覚してしまいそうな時間だけが過ぎていくなか、ふと、類に会いたいと思った。とはいえ時間が時間だ、会うのは無理でもせめて声だけでも聞けたら、なんて思ってしまう。
    それもこれも類が司を事あるごとに甘 3516

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