♢♦︎♢
狗巻家の先祖は神社の庭師をしながら各地を回っていた。
その中のひとつ、金沢のとある神社で庭を整えていた時に二匹の白い蛇と出会う。その神社は蛇を祀っており、その白い蛇も悪さをしなかったのでそのまま住まわせておいた。庭師としてはいつもなら噛まれてはたまらないと追い出してしまうのだが、なぜだかそうする事ができなかった。そんな時、神社の神職たちが騒いでいた。何があったのかと聞けば、若くして官職につく才を持つ菅原道真という青年がこの神社にやって来ると言う。ただ、狗巻は庭師だ。和歌を詠む事もお金を動かす事もしない。だから菅原道真という者が如何に優れた者か想像する事もできないのだ。
その日も庭の手入れをしていた。生垣に生えた枝を美しく、且つ病気になりにくく、樹木を育ちやすくするように剪定をしていた。
3467