AQUAの衣装の小道具はほぼ私物らしい。
アクアマリンの雫型チャームも、金色のチェーンもベルトもカフスボタンも、ブレスレットも、ぜぇ〜んぶそうなんだって。
ブレスレットが私物なのは知ってる。
この店で、一松くんがカラ松くんにプレゼントしているのを、見たから。
「おい、忘れ物…」
そう言って、会計を終えて席を立ったカラ松くんの右手首に、一松くんが金色の太いブレスレットをはめているのを見た時、アタシとチョロ美さんはちょっと引いた。
そのクサい演出やセリフにではなくて、ちょうどその日の出勤前に観たエンタメ番組で、ブレスレットのプレゼントは太いほど束縛感情も大きくなるって言ってたから。
「おっと!ソーリー…ん?これは俺のじゃないぞ」
気づいたカラ松くんに
「…いらなきゃ捨てて」
と一松くんが言って
「捨てるわけない!」
とカラ松くんが言ってた。
はいはい。はいはい!
ご馳走様でした!
「けっ。ケツ毛燃えるわ!」
チョロ美さんもそう言って、悪態を吐いてた。
数日後。
再び店を訪れた一松くんの左手首には、カラ松くんから貰ったらしい金色の二重のブレスレットがあった。
どっちもどっち