始祖様とはとちゃんがバーに行く話「東海道、酒が飲めるところに連れて行ってくれ」
仕事終わりに俺のところへやってきた兄さんは開口一番そう言った。不機嫌さのにじみ出る声色に、またつばめに何か言われたのかと思ったが口に出すと更に機嫌を損ねそうだったので心の内に留めておく。
「突然どうしたの?」
「酒を飲めるようになりたい。特急が宴席で茶ばかり啜っていては情けないだろう」
確かに兄さんは酒に弱かった。大陸に居た頃はまだ若かった事もあり、酒を初めて飲んだのは日本に来てからだが、少し飲んだだけですぐ真っ赤になり倒れてしまうような人だ。
俺は体質的に酒に強かったので今まで酒で嫌な思いをしたことはないが、酒に弱い人間を子供扱いし、馬鹿にする者が居るのも知っている。
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