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    hoshikage_nw

    @hoshikage_nw
    文書メーカーでの画像枚数が多すぎる物や、書きかけで終わらせられない(ボツ)文章などをこちらに載せます。
    ボツ文は中途半端です。いつか完成するかもしれない可能性の獣です(違

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    hoshikage_nw

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    Ζ世界線ガルマ生存ifでゲーム「スクランブルコマンダー」とのクロスオーバー。プレイしながら日記のように書いたものなので、話がちゃんと繋がってないし完結していません。
    一応シャアガル。
    ※ダンクーガ藤原忍くんの扱いが悪いので、ファンの方はご注意ください。

    スクランブルコマンダーとは:リアル頭身のロボットで遊べるスパロボ系ゲーム。ゲーム中に第二部隊の戦闘状況が無線BGMとして流れる贅沢仕様でした。

    スクコマパロ①&②-----------------------------

     
     中央アジアでジオン軍残党と闘った〈シース〉は、補給等のために本拠であるNERV本部のある第2新東京市へと帰ってきていた。
     彼等の足であり母艦でもある超巨大輸送機〔アウドムラ〕のブリーフィングルームでは、〈シース〉のパイロットたちが集まり、先日交戦した赤いザクについて話していた。
    「やっぱり、あれはシャア・アズナブルだったのかな」
     兜甲児が言うと、ジュドー・アーシタがたしかに、と頷く。
    「妙に素早いし、避けるし、腕はいいし。強かったなー」
    「まさか。単に角付きの機体を赤くペイントしただけですよ」
     コンバトラー・チームの小介が、眼鏡を押し上げながら否定する。
     するとEVAチームの惣流・アスカ・ラングレーが口を出した。
    「そうよね~。赤い彗星は一年戦争の後行方不明になった、って定説だしね」
    「でも……」
     少年少女はけんけんと意見を戦わせていた。
     そのころ、彼等をまとめ指揮する葛城ミサトは、アウドムラの別室で一人の男と向きあっていた。
     特徴的な紫の髪と、しなやかな身のこなしのその青年将校は、ミサトに優雅だがきびきびとした挨拶をすると、階級と所属を名乗る。
    「はじめまして、葛城一尉。エゥーゴから派遣されました。ナハトガル・アースウィンド少佐です」
     彼は驚くほど整った貴公子然とした容貌に、穏やかで寛容な笑みを浮かべて、ミサトと握手し、早速ですがと書類を差し出した。
    「エゥーゴからのゼータ、及びダブルゼータの補給と予備パーツの搬入を許可いただきたい」
     一瞬、彼の微笑に見惚れていたミサトは、慌てて書類を受けとる。
    (うっわー、プリンス・スマイルってカンジの笑顔ねー)
     ナハトガル少佐は、彼女が書類を確認するのを待ち、口を開いた。
    「それから。本日づけで〈シース〉作戦管理官補佐の肩書きで配属となりました。……着任を許可願えますか?」
    「ハイハイ……って。えええ エゥーゴのひとが」
    「はい。そちらに辞令書があります」
     ミサトは連邦軍の辞令書を見て、ナハトガル少佐を見る。
    「あの……補佐とのことですが少佐、補佐していただくわたくしは一尉……連邦軍で言うところの大尉相当になります」
    「お気になさらず。葛城一尉お一人では、カミーユやジュドーを含む十人以上のパイロットを抑えるのは大変でしょう。少なくとも、エゥーゴのパイロットなら、私が面倒みられますので」
     にっこりと微笑むナハトガル少佐の背後に花が咲き乱れたように見えて、ミサトはくらりと目眩を感じた。
     これは……食わせものかもしれない。エゥーゴはNERVが〈シース〉を支配すると懸念して、彼を牽制のために派遣したと見てよさそうだ。
    「エゥーゴ側に、NERVに対して他意はありませんよ」
     こちらの思考を見透かしたような言葉に、ミサトは無表情を保って答えた。
    「そんなことは思っていませんよ」
    「……私が派遣された真意は、クワトロ・バジーナの一件にあります」
     ナハトガル少佐は、微妙に表情を変えてそう言った。これにはミサトも表情を改める。
    「一昨日の戦闘にて、赤いザクⅡ……MS-06Sと交戦したとか」
    「ええ。パイロットの話では、かなりの手錬だったようです。アムロ大尉からは、“かもしれない”との感想を聞いております」
     ミサトの答えを聞き、ナハトガル少佐は沈痛に表情を変えた。
    「あなたは……クワトロ・バジーナが、シャア・アズナブルだと見なされていることはご存じですか?」
    「はい。噂として」
    「では、それを前提として……クワトロ・バジーナは現在、地球上にて単独の潜入作戦に就いています。端的に申して、ティターンズの新型機動兵器の内偵、および破壊を目的としているのです」
     新型兵器と聞いて、ミサトは顔色を変えた。
    ナハトガル少佐は彼女が落ち着くのをはかり、説明を再開する。
    「その作戦行動において、ジオン軍残党の兵力を必要とした可能性は、否定できません。そのためにジオン残党と接触、結果としてシースとの交戦をやむなくした……と、私は見ております。未だエゥーゴにクワトロからの連絡はありませんが、我々は彼が裏切ったとは考えていないのです」
     ナハトガル少佐は、はじめの微笑とはまるで違う微笑みで、ミサトを見下ろした。
    「このままシースが活動を続けていれば、クワトロは必ず合流するでしょう。そのために、エゥーゴとカラバのパイロットを落ち着かせておきたいのです」
     なにせ……と彼は困った様子でミサトを見た。
    「カミーユはああ見えて短気ですからね。殴りあいの喧嘩をしかねません。よそさまの大事なパイロットたちに怪我をさせては、エゥーゴとして……」
    その様子に、ミサトは吹き出した。
    「苦労なさってるんですね、少佐」
    「ええ、まあ……」
    「着任を許可します。サポートよろしくお願いしますね、ナハトガル少佐」
     笑顔でそう言ったミサトに、
    「ナハトで構いませんよ。葛城一尉」
    「わかりました。パイロットたちに紹介します。こちらへ」
    「ありがとうございます。では葛城一尉、先程私がお話した件は、他言無用に願います」
    「え……?」
    「機密とは、どこからか漏れるものです。クワトロは、未だ命の危険の大きな任務にあります。彼のためにも、秘密は守っていただきたい」
     ミサトは厳しい顔でナハトを見た。
    「ではなぜ、わたしに話を?」
    「黙っていただける方と判断いたしましたので。……信用なくして共闘はできず、また、疑いは組織を弱体化させます。クワトロへの疑いは、晴らしておかねばなりません」
     穏やかに笑いながら言う紫髪の美男子の姿に、とんでもないヤツがきた。とミサトは思った。


    〈途中だけど02につづく!〉
    新型兵器はアプサラスさんじゃなかったかな。
    (初出 2009.11.06 )
    ---------------------------------

    『スクコマパロ②』


     
     その日〈シース〉にクワトロ・バジーナが合流した。
     紆余曲折あったのだが、確執や誤解を越えてメンバーは彼の参加を歓迎した。
     なにより葛城ミサトにしてみれば、強力なベテランパイロットであり、年齢的にも落ち着いた、若年層のパイロットを指示できる人物の参入はありがたかったのである。
     特にもともとクワトロと同じエゥーゴのパイロットであるカミーユやジュドーは、心強い味方が加わったことを喜んでいた。
     ハンガーでモビルスーツから降り立ったクワトロを迎えに走った二人の姿は、如何に彼らがクワトロの裏切りの噂に胸を痛めていたのかを、よく解らせるものだった。
    「クワトロ大尉!」
    「クワトロさん!」
     駆け寄った少年二人を鷹揚に迎えて、クワトロは二人の肩を軽く叩き、二言三言何ごとか言葉を交わした。
     おそらく二人の少年を労い、これまでの〈シース〉での戦い振りを褒めたのだろう。カミーユもジュドーも、頬を上気させ、瞳をキラキラさせて笑顔になる。
     ミサトは「やっぱり絆ってヤツよね~」などと思いながら、三人を見つめていた。
     クワトロは少年二人から、奥に立つミサトへと視線を転じると、颯爽とした雰囲気とともにやって来て挨拶をする。
    「お初にお目にかかる。エゥーゴ所属、クワトロ・バジーナ大尉だ」
     思わず腰にくる美声に、ミサトは「うわお」と感心した。
     ハンサムとは聞いていたが、声までそうとは反則な。
    「NERV所属、連邦軍極東方面軍一尉、葛城ミサトです。クワトロ大尉、〈シース〉への参加ありがとうございます」
    「礼を述べるのは私の方だ。裏切り者と討たれても仕方がなかったのだから」
     握手を求める手は、力強かった。
    ノーマルスーツのヘルメットを撥ね上げ、ハンガーのライトに晒された貌は、見事なプラチナブロンドに柔らかく包まれた端正なものだった。
     切れ長で彫りの深いアイスブルーの瞳で見つめられると、ゾクリとする。
     ミサトは軽く微笑んで、
    「お礼ならナハトガル少佐に言ってください。大尉はけして裏切っていない、攻撃は待ってくれ、と私達を説得なさったのです」
     その言葉に、クワトロは微笑で応えた。
    「ハン、どーだかな。今は一応味方だが、それも自分の機体がヤバくなったからで、チャンスがありゃ、モビルスーツ奪って行くつもりじゃねーのか?」
    「藤原くん!」
     獣戦機隊の藤原忍が、嫌味に声を投げる。彼はかつて指揮官だったシャピロ・キーツがムゲ帝国に裏切り寝返った経験から、裏切りそうな人物とみれば疑って喧嘩を売りにかかるのだ。
     クワトロは、しかし静かな態度でそれを聞くだけにとどめていた。
     忍は問題児で、非常に好戦的で思慮の浅い若者だった。人類に宿る野獣の本能を増幅し戦闘力に変える、という獣戦機のパイロットとはいえ、反抗的で自分がいちばん正しく強いと思っているタイプすぎて、ミサトとしては頭が痛い。
     案の定、クワトロが黙っているのを見て、彼が軟弱と思ったらしく、居丈高にでてくる。
    「黙ってるってことは、そのとーりってコトかよ? あァ?」
     まるでちゃんとした軍人ではなく、どこかの不良のようである。
     仲間の雅人や亮が止めているが、聞きはしない。
    「獣戦機隊の藤原忍か」
     クワトロが平静な声で問うた。忍の声がでかいせいで、余計に静かさが目立つ。
    「おうよ。久し振りだな」
     今〈シース〉に参加している部隊の殆どが、以前〈ロンドベル隊〉として数回の戦乱を戦っていた。彼らも顔見知りなのだ。
    「少しは成長したかと思っていたが……喧嘩を売ることしか脳がないらしい」
     あえて「能」ではなく「脳」ときたかと、ミサトは苦笑する。
    「私が裏切り者だというなら、殺すがいい。そうやりたそうだ」
     売り言葉に買い言葉。忍はニヤリと笑って銃をクワトロに向けた。
    「だが……私が裏切り者ではなかったなら、キミたち獣戦機隊は、その後どう責任を取るのだ?」
     ピィン、と空気が張り詰め、クワトロから冷気が吹き出すように見える。
     クワトロの忍を見据える眸の鋭さ、冷たさに、ミサト自身も胃に冷たいものを感じた。
    「ぅ……」
     忍のこめかみから汗が伝う。
    「キミの口から出た言葉は、下手をすると、キミたちの司令官、葉月博士の人格や指揮能力、はては獣戦機隊そのものの価値まで決めてしまうのだ。ナメられたくないとイキがるのはかまわんが……」
     視線から刃鳴りの音が聞こえた気がした。
    「却って小物にしか見えなくなるぞ、小僧」
     忍は完全にクワトロの殺気に呑まれて動けずにいる。だが、このまま引き下がったのでは獣戦機隊のプライドが保てない。
    (コイツ……!)
     どうやればプライドと優位を保ったままでいられるか、忍は目まぐるしく考えていた。
     その時、クワトロがふっと視線を外す。
    (今だ)
     殴ろうと拳を固めた瞬間、斬るように声が飛んで来た。
    「やめろ、クワトロ!」
     びくん、と忍の拳が止まる。
    「藤原少尉、君もだ」
     ゆっくりした靴音が近付き、忍の拳に白手袋に包まれた手が触れ、止めた。
    「ここは引いていただきたい。獣戦機隊とエゥーゴ、双方のために、な?」
    「……少佐様の頼みじゃ、仕方ねぇな。がまんしてやるよ!」
     忍は鼻息も荒く、ハンガーを出ていった。
     謝罪する雅人や沙羅に向かい、紫の髪の「少佐」は穏やかにそれを受け、かつ獣戦機隊の面子を保たせるような謝罪を彼らに向ける。
     今にも忍に殴りかかりそうに身構えていたカミーユやジュドーも、彼が現れた瞬間にほっと安堵して表情を和らげていた。
     ミサトは感心しながら、ナハトガル少佐を見る。やはり、この優男の少佐は喰えない。
     ナハトは貴公子然とした優しげな白皙に、呆れたような、苦笑するような微笑を浮かべると、クワトロを小声で咎めた。
    「まったく……あまり子供をからかうな。きみが〝誘った〟だろう、今のは」
    「ふふ……どうかな?」
     応えるクワトロはシラリと人を喰った笑いでそれをかわしたが、一瞬だけひどく優しい笑いを浮かべてナハトを見遣る。
     その笑顔を目にしたミサトは、クワトロの瞳に瞬の間浮かんだ切なげでとろけるような甘い熱に、我が目を疑った。
    (あらぁ? アラララァ)
     戸惑うミサトの目の前では、クワトロとナハトが親友同士らしい打ち解けた挨拶と会話を繰り広げている。
     肩をバンと叩き、明るく笑いながら、「きみがいない間、大変だったんだぞ」と愚痴まがいの言葉が吐かれ、「そうか。だが私もキツかった」と応じているクワトロからは、ミサトが目にした熱は感じられない。
    (見間違い……よね~?)
     あの一瞬、たしかにクワトロの碧い眸には男の欲が見えた気がしたのだが。



    〈ここまで〉
    (初出 2009.12.09 )
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