単発オメガバこれほどまでに自分の体を罵ったことはない。抑えようとしても昂る体に先に理性の方が切れそうだ。だがこの状態でそれは自殺にも等しいだろう。
「最低だ」
呟いた声は低く掠れた。獣であれば喉を低く鳴らしていたに違いない。それはただ息を吐くよりも芯に籠る熱を逃がす行為に他ならなかった。
「オレにとっちゃ面白い展開だけどな」
ニッと歪んだ口から覗く歯が恨めしい。余裕ぶりやがって、と普段なら思いつきもしない粗雑な言葉が浮かぶ。このまま喉でも絞めてやろうかと手を置くが、熱に焼かれ始めた脳では軽く力を込めることすら難しく、まるで首もとにすがるように項垂れる姿勢になった。
顎に手を当てられ上から顔を覗かれる。きらりと光る目が赤司をじろじろと見る。
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