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    発情期か媚薬かなにかで強制的にえっちな状態にさせられたけどめちゃめちゃそれに嫌悪してがるがる唸る赤司くん見たい

    単発オメガバこれほどまでに自分の体を罵ったことはない。抑えようとしても昂る体に先に理性の方が切れそうだ。だがこの状態でそれは自殺にも等しいだろう。
    「最低だ」
    呟いた声は低く掠れた。獣であれば喉を低く鳴らしていたに違いない。それはただ息を吐くよりも芯に籠る熱を逃がす行為に他ならなかった。
    「オレにとっちゃ面白い展開だけどな」
    ニッと歪んだ口から覗く歯が恨めしい。余裕ぶりやがって、と普段なら思いつきもしない粗雑な言葉が浮かぶ。このまま喉でも絞めてやろうかと手を置くが、熱に焼かれ始めた脳では軽く力を込めることすら難しく、まるで首もとにすがるように項垂れる姿勢になった。
    顎に手を当てられ上から顔を覗かれる。きらりと光る目が赤司をじろじろと見る。
    「良い顔してんじゃねーか」
    唾を飲んで額に力をいれる。殺す気持ちで睨み付けても楽しそうに笑うので、ふざけるなと鎖骨に爪を立てた。沸き上がる怒りが残った理性を奪おうとし、同時に正気を取り戻させる。
    「これじゃ一発出すまで収まんねーだろ」
    「黙れ」
    「んでだよ。それが合理的な判断じゃねぇか?」
    するっと太股が撫でられてビクリと震える。反射的にその手を無理やり弾いたせいでバランスが崩れ、彼の体にもたれ掛かってしまった。ふいに吸った息で彼の臭いが頭にまわってくらくらする。
    「まるで毛を逆立てた猫みたいだな」
    フーフーと堪える赤司を見て、彼は眉を下げよしよしと頭を撫でてきた。性的なからかいの薄い行為に赤司は少しほっとするが、逆に一人で発情していることに悔しさが沸き上がる。
    赤司はアルファだ。アルファの発情はオメガのフェロモンにのみ反応して起こる。そして彼はオメガではない。
    今回赤司が浴びたのはオメガフェロモンを悪用した違法ドラッグだった。迂闊にもそんなものが持ち出されるとは思わず後手後手になってしまった。なんとか一矢報いて抜けてきたものの、家にたどり着いて出迎えた相手を見た途端、頭が真っ白になり押し倒していた。驚く相手に乗り上げて拘束したが、かろうじて戻った一部の理性が赤司を止めたのだった。
    「オレは、知らない相手に無理やり引き出された発情で、お前としたくはない」
    それが赤司にとって何より大事な理由だった。自分のバースを利用されたこと、下らない罠に掛かってしまったこと、そしてそんな不甲斐ない事で相手を捌け口にすること。
    「詳しいことは分からねぇが、別にオレにとっちゃ役得なんだから、好きに乗っかってくれても良いんだけどな」
    「オレは嫌だ」
    「この頑固者め」
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