離島の医者パロ(仮)プロローグ
あの日、人魚に出会った。
大学生になったばかりの夏、五条悟は何もかもが色あせ、生きていることすらめんどうになっていた。
そして、全てから逃げるように、放置されていた離島にある別荘に逃げた。
親友たちに言わせれば『天才の悲哀ってやつか』『何の苦労もないからそうなるんだ』と辛辣に言いはなたれたが、それはその通りなのだろう。
産まれた家は財閥系の名家で金の苦労なんて考えたこともない。悟自身も、物心ついた頃から神童と言われ、勉強もスポーツも全てが人並み以上に努力もせず出来てしまう。そのためか、成長するにつれ、世の中の全てが色褪せ、つまらないものに感じるようになっていった。
その上、自分の周囲にいるのは数人の友人以外は五条家に取り入りたい者、玉の輿狙いのギラギラした女たち。その全てが嫌になってしまったのだった。
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