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    ぬのさと

    @nunosato
    魔道祖師/陳情令の双聶(明懐)が好きです。

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    ぬのさと

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    シロツメクサの花言葉は、「私を思って」「約束」「復讐」「幸運」「私のものになって」というところからの現代AUの双聶です。

    #双聶
    doubleNie
    #現代AU
    modernAu

    think of me ねえ、大哥はおぼえている?
     あの春の日の、ふたりだけの結婚式。
     木立を抜けたところに広がる草原と、荘厳な建物。いまにしておもえば、キャンプ場も併設しているような広大な公園のなかなのだけど。
     やわらかな草のあいだでシロツメクサやタンポポといった素朴な野の花々をつみ、小さな花束を作った。花冠を作りたかったけど、幼い私では作り方がわからなかったし、一緒にいる大哥はもっと知らないだろう。
    「大哥、懐桑とけっこんしきしよ」
     テレビで見た結婚式の花嫁さんが、真っ白なベールに、後ろに長く伸びたウェディングドレスを着て、かわいらしいブーケを持っているのに憧れた。どこもかしこも華やかで美しくて、花嫁さんの輝くように幸せな笑顔に、自分も同じことをやってみたかった。
     結婚とは、大好きな人とずっと一緒にいること。それなら、私は大哥としか結婚しない。
    「け、結婚式ごっこ……」
     懐桑にはまだ早いとかなんとか口ごもった大哥は、それでも私のお願いを聞いてくれた。
    「お花とー、あ、ゆびわがいる!」
     大哥の指に、やっとできるようになった丸結びでシロツメクサをくくりつけて、指輪にした。指の白い花を見下ろした大哥が、少し笑った。気をよくした私は、大哥にせがんだ。
    「大哥も懐桑にゆびわつくって!」
     困った顔をした大哥は、リュックをゴソゴソと探した。大哥はお菓子を入れたビニール袋をとめている銀色のビニタイをはずし、それをねじって輪を作った。針金の先が刺さらないか確認してから、大哥はまるまるとした私の指に、銀色の指輪をそっとはめた。
    「わあ、すごい……大哥、ありがとう」
    「どういたしまして」
     シロツメクサの指輪がはずれないように気をつけながら、大哥が私のあたまをなでた。
    「大哥、だいすき!」


     今日は私の結婚式。
     繊細な純白のレースをあしらったマリアベールが後ろに流れる。結婚式らしいのはベールだけで、シンプルな黒いシャツを着ていた。
     ふたりきりの結婚式だから。
     ベールをおさえた私の指には、銀色の細い指輪が輝いている。
     あのときのビニタイで作った指輪は、いまでも小箱に入れて大切にしまっている。そんなものは捨てろと大哥はいうけど、私は知っているんだ。大哥だって、カサカサにひからびて、触ったらバラバラになりそうなシロツメクサの指輪を、こっそりしまいこんでいることを。
     大哥の目は潤み、いまにも泣き出しそうだった。ふふ、ばかだね、大哥。これからはいつでも一緒なのに。
     私は足を踏み出した。

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    小月 輝

    DONEガーデンバース忘羨のタグで花の日のお祭りに参加した時のお話
    花を編む起きた時に感じるのは満たされた幸福感だった。
    ぬるま湯に浸るような心地よい寝床で目を覚まして、一番に目に入るのが美しい夫の寝顔である事にも慣れてしまう程の時間が過ぎた。ゆっくりと藍忘機に体重をかけないように起き上がり、くわりと大きく欠伸をする。半蔀から差し込む光はまだぼやけていて、明朝というにも早い時間に魏無羨が毎日起きているだなんて、この世でただ一人を除いて誰も信じないだろう。藍家の家規で定められている卯の刻起床よりも早い、まだ草木も鳥も寝静まっている時間だ。もちろん時間に正確な魏無羨の美人な夫もまだ寝ている。
    毎晩あんなに激しく魏無羨を苛んでいるとは思えない静謐な寝顔に、思わず頬が緩むのをおっといけないと押さえて、だらしなく寝崩した衣を更に肌蹴る。魏無羨は美しい夫の顔を何刻でも見ていられたが、今はそれよりもすべき事があるのだ。腕や胸、内腿まで、体のあちこちに咲いている花を摘んでいく。紅梅、蝋梅、山茶花、寒椿に芍薬、色とりどりに咲き乱れる花々は魏無羨が花生みである証であると同時に、昨晩藍忘機にたっぷりと水やりをされた証でもある。栄養過多になると、魏無羨の体は花を咲かせる事で消費するのだ。だから、毎朝、一つずつ丁寧に摘んでいく。
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