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    ぬのさと

    @nunosato
    魔道祖師/陳情令の双聶(明懐)が好きです。

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    ぬのさと

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    犬も食わないなんとやら。宗輝が不憫なのは既にお約束。聶の日の再掲です。

    #双聶
    doubleNie

    犬も食わない「いやだ」
     にべもなく聶懐桑は云い放った。
    「二公子、一緒に兄君にごめんなさいしに行きましょう」
    「いやだったら、いや」
     てこでも動かない容子でつっぱねる懐桑に、聶宗輝は困った顔をした。よく日に焼けた実直な相貌に汗が光る。
     そもそも聶宗主とその弟君がなぜ喧嘩をしたのか、宗輝は知らないのだ。知らないのに、宗家と近い血縁で年回りも近いということで、兄弟喧嘩の仲裁をして二人の仲を取り持つ役割が回ってくる。今回の喧嘩も、懐桑が一方的に癇癪を起こしていたとしか、宗輝は聞いていない。
    「懐桑、宗輝を困らせるでない」
    「宗主!」
    「……大哥、僕は悪くないよね?」
     目を白く光らせ、懐桑は不機嫌そのものの表情で兄を見上げた。聶明玦は弟の見上げる姿体に弱いとわかってのことだ。容貌魁偉で泣く子も黙る厳格な赤鋒尊は、ころりと態度を変えて懐桑をなだめた。
    「ああ、大哥が悪かった。もう機嫌を直せ、懐桑」
    「ほらね?」
     なにが「ほらね?」だ。
     得意げに宗輝をふりかえる懐桑に、胸のなかで思わず毒づく宗輝だった。
    「それにしても、懐桑は自分の好き嫌いをはっきり主張できてえらいぞ」
    「ね?」
     懐桑は胸を張って宗輝をまた見た。
     いや、そういうのを褒められるのは幼児だけですからー!
     喧嘩していたことなんか忘れたかのように、うふふあははとなごやかに語らう兄弟に、宗輝はがっくりと肩を落とした。
    「それで、なにが喧嘩の原因だったのですか?」
    「だって大哥が。私は素足になりたかったのに、靴下を履けの一点張りで」
    「…………は?」
    「だ、だから、足腰を冷やしてはいかん」
     そりゃ、下半身を冷やすのはよくないが、宗主にはそれ以外の意図があったのでは?
     ジト目になる宗輝。その前で明玦はスススと懐桑の腰に腕を回し、がっちりと囲い込んだ。懐桑は気にしたふうもなく、話し続ける。
    「…………」
     今度から、まず喧嘩の原因を確認してから、仲裁に入ろう。宗輝は考えることを放棄し、にっこり笑顔で拱手して、その場を立ち去った。
     

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    ぬのさと

    DONE双聶本「You Mean the World to Me」につけていたおまけ折り本の再掲。
    最初は秋の話だったのを途中で春に変えたので、秋バージョンを持っている方はレアかも。
    元ネタは北宋の徽宗のエピソードです。
    作中の七言絶句は、『全唐詩』所収の劉長卿「過鄭山人所居」(鄭山人の所居を過ぐ)より。
     寂寂孤鶯啼杏園
     寥寥一犬吠桃源

    (寂寂として孤鶯、杏園に啼き
     寥寥として一犬、桃源に吠ゆ)
    ものいう鳥 数ある仙門世家のうちで唯一、刀術を使う清河聶氏の当代宗主は、聶懐桑という。
     勇猛なこと、義に篤いことで世に名を馳せた聶氏を束ねる長として、聶懐桑はあまりにも頼りない。領内でもめごとが起きても、悪鬼邪魅のたぐいが跋扈していると領民から訴えがあっても、困り顔に気弱げな笑みを浮かべて扇子ではたはたとあおぐばかり。なにを聞かれても「知らない」としか答えない、一問三不知とあだ名される人物だった。
    「――知らない」
     ふいに、つややかな黒い羽根の小鳥がそう云った。暖かな陽射しが明るかった。
    「ふうん、おいしいかい?」
     聶懐桑はにこにこと笑いながら、目もとから頭の後ろにかけて黄色い肉垂れのある、真っ黒な小鳥に手ずから餌をやった。九官鳥は橙色の嘴を開け、
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