七海さんは、美味しいお食事処、本当によくご存じですよね」
恒例となった食事会の後、七海の自宅のソファで寛ぎながら。伊地知は以前からずっと疑問に思っていたことを口にする。いくら一般社会での経験があったとはいえ、七海の食に関する知識は群を抜いているように思える。食事処に関しても、自炊で作るものに関してもだ。七海の薦めてくれる食の関連のものには外れはなかった。
「そうですかね? 割りと普通だと思いますけど」
「いや、食べたい物の傾向と予算を聞いてすぐに『ここはどうです?』とか勧めてくれるじゃないですか」
それはあまり普通ではないのでは? と、伊地知は苦笑する。
「私はそういった情報に疎いので助かってるんですけどね。どうしてかなぁと思ってまして」
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