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    鬼と子狐パロ。一度野に放たれるショタかおるくん(零薫)

    零の日課の散歩は雨の日でも行なわれる。そんな散歩道で零はびしょ濡れの泥濡れが酷い毛玉を見つけたのだ。最初は謎の毛玉だと思った。しゃがみ込んで、雨に濡れないように傘を差しながらその毛玉を指でつついてみたのは興味故だ。その刺激に身じろいで丸まった体が解かれて見えた人の肌にこの毛玉は生き物でそして小さな獣の住人である事を知った。

     ずっとこの雨に打たれていたのだろう、体温がとても低く、このままじゃこの子は近いうちに死んでしまう。今にも消えてしまいそうな命を、零を見捨てることは出来なかった。羽織を脱いで、汚れることを厭わず小さな体を包み込んだ。あまり自分は体温が高い方では無いけれど、少しでもこの子に温もりを移さなくてはと必死に抱きしめ羽織の上から摩擦をするように擦ってやる。早くもっと暖かいところに連れて行かなくては。零は先程まできていた道を駆けて戻ったのだった。
     そしてあの雨の日保護した子狐は零の介抱あって、すっかり元気を取り戻すことになる。びしょ濡れの毛玉は毛並みも艶々になりほっぺたもぷくぷく。頬紅なんて付けていないのに自然と薄紅色に色づいていて何とも愛らしい幼な子だった。
    長く独り身で、寂しい生活をしていた零にとってこの子狐との生活はまるで自分の子供が出来たかのように刺激的で日々新しく気付かされることがいっぱいであった。楽しくて愛しくて、ずっと気づかないふりをしていたけれど、そろそろ良い頃合いなのではないかとも思うのだ。
    死にかけていた子狐もこれで早々に命を落とすような事は無くなった。それなら薫の元々いた場所に戻してあげるべきなのではないか。この先華々しい未来が待ってるであろう薫を、こんな寂しい鬼の寂びしい人生に付き合わせるなどそんな身勝手をして良い訳がなかった。それにこちらの生活に完全に慣れてしまえば、狐としての生きていく術を何も知らずに薫は育つ事になってしまう。薫の人生を壊すようなことをして言いわけがないと思ったのだ。

    そうしてそれを行動に移したのは零が薫を保護してから4ヶ月目のことだった。遠い昔に知り合った九尾に薫を見守ってくれる様にと。気が向けばで良いので、時々薫の世話をしてもらえるようにと頭を下げに行き約束を交わした。彼女に指定されたのは花が咲き乱れる小高い丘に立っている祠の前であった。

    「ほれ元の暮らしに戻るんじゃよ。さようなら薫くん」
    薫を祠の前まで連れて行き、零はそこから離れようと歩き出す。
    「れぇさん、つかまえた!」
    「…薫くん遊んでるわけじゃないんじゃよ」
    「ぅ?」
    きょとんと首を傾げた薫に零は零と戯れているつもりなのだろう。零が薫と別れようと距離を取るたびに薫は零の元へと懸命に走ってきてしまうのだ。捕まえたと脚元にぎゅっと抱きついてきて、今から零がする事に気づいているはずがないのに行かないでと、まるで薫に甘えられているようだと思ってしまう自分に呆れた。

    「ほれ元のお仲間の所に帰るんじゃ」
    「れぇさんといっしょ!」
    「零さんは薫くんと揃いのお耳ついとらんよ」

    零の脚元にしがみつく薫の頭を撫でながら、やはり自分は薫と長く時を過ごしてしまったのだと悟った。

    「れぇさん、おでかけたのしいね」
    「…そうじゃのう。して薫くんや、薫くんは賢いから百を数えられるようになったじゃろ。今から百までゆっくり数えてみてくれんかえ? 」
    「わかった!みててね!」
    「うむ、数え終わるまで振り向いてはならんよ」
    「いーち!にー!さーん!」

    朗らかな声が、花畑に響き渡る。中々離れがたくて、薫の後ろ姿を暫し見つめていた零も暫くすると祠へと目配せをして、その場から動き出した。

    「きゅうきゅうきゅう、ひゃく!れぇさん!おわったよ!…あれ?れぇさん…?どこ……?」



    __________

    「ごめんください」
    「はいはい、何じゃろうか。来客の約束はなかった気がするんじゃけど……」
    「あの恩返しにきました!えっと…零さん?ですよね。俺ね、ずっと会いたかったの…」
    「はてこんな美しい狐の知り合いなんていたかのう?」

    (ここから美人に育った薫くんの恩返し幼妻編を書きたい)
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    hachimitsuco_

    MAIKING鬼と子狐パロ。一度野に放たれるショタかおるくん(零薫)零の日課の散歩は雨の日でも行なわれる。そんな散歩道で零はびしょ濡れの泥濡れが酷い毛玉を見つけたのだ。最初は謎の毛玉だと思った。しゃがみ込んで、雨に濡れないように傘を差しながらその毛玉を指でつついてみたのは興味故だ。その刺激に身じろいで丸まった体が解かれて見えた人の肌にこの毛玉は生き物でそして小さな獣の住人である事を知った。

     ずっとこの雨に打たれていたのだろう、体温がとても低く、このままじゃこの子は近いうちに死んでしまう。今にも消えてしまいそうな命を、零を見捨てることは出来なかった。羽織を脱いで、汚れることを厭わず小さな体を包み込んだ。あまり自分は体温が高い方では無いけれど、少しでもこの子に温もりを移さなくてはと必死に抱きしめ羽織の上から摩擦をするように擦ってやる。早くもっと暖かいところに連れて行かなくては。零は先程まできていた道を駆けて戻ったのだった。
     そしてあの雨の日保護した子狐は零の介抱あって、すっかり元気を取り戻すことになる。びしょ濡れの毛玉は毛並みも艶々になりほっぺたもぷくぷく。頬紅なんて付けていないのに自然と薄紅色に色づいていて何とも愛らしい幼な子だった。
    長く独り身で 1715

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