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    sardine57817

    初めましてorこんにちわ。
    いはし(伊橋)と申します。
    こちらでは、かきかけとかかけねえとか、をぽいぽいしています。
    続き書いてとかっていう奇特な人がいらっしゃいましたらこっそり↓まで。
    http://odaibako.net/u/sardine57817

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    sardine57817

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    猪七のデート。
    新宿思い出横丁ではしご酒~♪を酔い潰れる側(猪くん)の目線で書くという発想が無謀だよね。

    #猪七
    pig7

    新宿は夜の七時

    大人オブ大人の七海サンがメシに連れてってくれるってだけでオレはすぐに舞い上がってしまう単純な男だ。平日の夕方六時過ぎ、会社員や学生がごった返す駅のコンコースに彼はいた。ネイビーのマフラーに焦茶色のタートルネック、ベージュのパンツというラフな格好で立っている姿はまるでファッション誌のモデルのようだ。普段ガチガチに固めている髪が緩く靡いている。手のひらに収まっている文庫本に夢中でオレには気づいていないようだ。
    「七海サン!」
     声を掛けるとはっとしたように顔を上げた。視界を遮る色の濃いゴーグルではなく、銀縁の丸眼鏡でいつもより表情が柔らかく見える。
    「猪野くん」
    「待たせちゃいましたか?」
    「いえ、然程待っていませんよ」
     文庫本を鞄にしまう替わりにスマホを取り出す動作がいちいちスマートだ。
    「さて、どこに行きましょうか?」
     何か食べたいものは?と聞かれ、
    「前は焼き肉でしたからー、うーん……」
     前回全額出してもらった手前、店選びには慎重にならざるを得ない。かと言って、ここで考え込むのも時間の無駄だ。
    「あ、近くに思い出横丁ってあるんで気になった店に入るってのはどうッスか?」
     小さな店がひしめく横丁はいわゆるはしご酒ができるので一軒あたりの単価はあまり高くないだろう。それに日本一の歓楽街が近いし、バラエティも豊富だ。そんなオレのいきあたりばったりな提案を
    「やや合理性に欠けますが、まあ良いでしょう」
     と言って受け入れてくれた。それだけで舞い上がってしまいそうだけど、新宿の夜はまだ始まったばかりだ。

     一軒目は「お酒を飲んだ状態では入店できない」という噂の店で乾杯。大鍋でスタンバイしている味噌煮がぐつぐつと実に美味そうだ。


    〈はしごしまくって酔いつぶれる〉


    「俺は七海サンを尊敬してます、でもそれ以上にす……」
     きです、という言葉は声にならずに消えていく。急に身体がぐらりと傾き、遠くで俺の名を呼ぶ声がした。何かもう一言喋っていたような気がしたけどそれを確かめるすべはなく、そのまま意識を失った。

     目が覚めたら見慣れた天井があった。いったいどうやって帰ってきたのだろう。頭ががんがん痛む、紛うことなき二日酔いだ。ミニテーブルの上にポカリスエットとメモ書きが置いてある。
    『昨晩はお疲れさまでした。鍵はポストの中に入れておいたので確認しておいてください』
     一目で七海サンだとわかる流麗な字。
    『追伸 言いかけた言葉のその先は君が素面のときに訊かせてくださいね。七海』
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    sardine57817

    CAN’T MAKE五七ドロライ「囲う」用。
    開始20分でなんか違うなって思ってしまったので供養。
     二〇一八年九月。等級不明呪霊による一連の事件で受けた傷の予後観察のため高専に訪れた七海を医務室で待っていたのは家入ではなく五条だった。目隠しを少し上にずらして、手元のコピー用紙を睨んでいる。
    「家入さんは?」
    「その前に確認したいことがあってね」
     人払いをしてまで話したいことはなんだろうと七海が訝しんでいると、これを見ろと言わんばかりにそれを寄越される。虎杖による事件の報告書だ。特級術師でありながら教鞭にも立つ男はこういった添削の作業も仕事の一環である。
    「これ、何?」
    「例の呪霊の無数の手の領域展開のことですか?」
     任務に関するデータは克明に記録しなければならない。実戦で得た経験は文書として提出し、共有される。呪いとの戦いが始まってからずっと変わらない慣習である。
    「そこじゃない、その後だよ。『七海一級術師は戦闘態勢を解いていた』って何?」

    「窮地に立たされたときの人間の行動としては相応しくなかったのかもしれないですね」
    他人事のように言い放つ彼に憤りを感じた。

    「いっそ僕が何もできないように囲ってやろうか」 469

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    DONEキスの日の五七
    五条サイド
    「……七海?」

     授業を終え、苦手な事務作業も終えて、ふっと気を緩めたと同時に愛しい呪力を感知して五条は伸びをしかけた身体をぴたりと止めた。

     基本的に五条の持っている能力値は多方面に亘って非常に高い。だから書類仕事が溜まりに溜まっていたのは、単に面倒という理由だけで放置していた結果だった。頼むから提出してくれと泣きつかれて、ようやく着手したのだ。その作業に思いのほか集中していたらしかった。おそらく少し前から訪れていただろう恋人の気配に気づかなかったとは。帰ってしまう前でよかった、と五条は勢いよく椅子から立ちあがった。

     気配は昇降口に向かっている。彼ももう帰るところなのだろう。その前に捕まえて、食事にでも誘いたい。あわよくばそのままお持ち帰りを……などと考えながら五条は恋人──七海の呪力を軽い足取りで追いかける。きょう七海が高専に来るとは聞いていなかった。面倒なことを片づけた自分へのご褒美のようで、五条の心は自然と弾む。

    「?」

     昇降口を挟んで対極の棟からこちらへ向かっていた七海の気配が、とつぜん進行方向を変えた。もうすぐそこの角を曲がれば逢える、と相好を崩していた五条は 4195