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    moku_amekaru

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    moku_amekaru

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    (出来たら)1日1SS
    鍾タル「下着」
    ⚠️ちょっと匂わす表現、変態臭い公子
    全部捏造二次創作

    鼻元思案 その日は一週間ぶりの帰還だった。
     放棄された仙境がアビス教団の拠点に使われていると情報を掴み、制圧しようと意気込んで入った。そこまでは良かったが敵は好き放題湧いて出てくるし、そのくせ出口は一向に現れず。まあ、魔物の坩堝に放り込まれるのは本望であるから、携帯食料と空気中の水蒸気から作った飲料で過ごして五日間。そこから移動で二日間。帰り道も生憎の雨で道が悪く、ある程度は自分の水で清めたものの身体は汗まみれ泥まみれの最悪の状況だった。
     そんなこんなを乗り越えて無事に帰還し間もなく璃月港である。本来ならすぐにでも北国銀行に戻り報告書を認めなければならないのだが。思う存分暴れ回りすっきりしたというのに、事務仕事に向き合うのは億劫だった。
     さすがのタルタリヤも少し草臥れている。そろそろまともな屋根のある場所で休みたいが、拠点の宿ではすぐに見つかってしまう。ある程度の睡眠は取れるだろうが、その先に待つのはサイン待ちの書類の山。出来ればもう少し寝かせて置きたい、タルタリヤだけじゃなく書類だってまだ動きたくないと言っているはずだ。
     それではどこに行くか。旅人の洞天を借りるのもいいが璃月において複雑な立場であるタルタリヤが気軽に出入りして気まずい相手と鉢合わせては悪いし、彼がどこにいるかはわからない。そうなると、璃月港でタルタリヤが急に訪れても差支えがないのは一箇所しかない。少し傷の増えた靴の先は自然と緋雲の丘の居住区へと向いた。


    「やあ、先生。今晩の宿を借りに来たよ」
    「そうか。生憎宿屋を始めた覚えはないんだが」
      
     タルタリヤが叩いたのは鍾離の家の玄関だった。間もなく床に就くところだったのか、髪は解け裾の長い寝間着を纏っている。突然の訪問者に特段驚いた様子はなく、ただほんの少し眠たげな言葉が返ってきた。それにわざと肩を竦めておどけてみせる。
     
    「そっか。なら言い直す、今日は帰りたくないんだ。お願い泊めて、ミールィ」
    「まあ……いいだろう」
      
     とびきりに甘い表情と愛の言葉など気にする素振りもなく。玄関を開けたまま踵を返して歩いていった。代わりに鍵をかけてその後を追う。
     
    「まず風呂を借りていい?」
    「構わん。明日掃除もするからそのまま脱衣所に行くといい。着替えを持ってこよう」
     
     寝間着のある寝室へと向かった鍾離とその指示の通り別れて脱衣所に向かう。染み込んだ汚れと幾らかのほつれのある執務服を脱いで桶に投げたところで、ふと見つけた。桶に引っかかるひとつの黒い下着。思わず、拾い上げた。
     黒のボクサーパンツである。以前、タルタリヤが使っている下着の形状に興味を示した鍾離に買って贈ったものだ。通気性も吸汗性もよく、気に入って普段使いしていると話していた。これまでも閨で何度か見ていたし、そう珍しいものでは無いのだが、鍾離との時間が合わずすっかりそういった行為はご無沙汰であったから、実に一ヶ月ぶりの邂逅だ。
     ——先生、いないよな。
     思わずきょろりと辺りを見回してからもう一度下着に視線を戻す。少し皺のついたそれは、恐らく少し前まで鍾離が履いていたもので、まだ洗濯されていない。ごくり、思わず喉が鳴る。指先で挟んで撫でた。
     タルタリヤは一週間ほぼ寝ていないし、充分な食事も取れていない。つまり、疲労もそこそこ溜まっていた。もちろん仕事であったのだから全く処理は出来ず、下半身のあれそれも溜まっている。疲弊した頭にうっかり気の迷いが顔を覗かせて、つんつんとタルタリヤをおかしな方へと誘ってしまった。
     衝動のままに手を持ち上げて、鼻先を寄せる。下着の少し分厚い中心に押し当てて息を吸いこんだ。
     鍾離の匂いだ。元々の体臭はさほど強くなく、品のいい香に包まれているせいであまり感じることの出来ない鍾離自身の匂いが、鼻から脳に伝ってじわりと満たす。染み込んだ汗と、そこに当たっていたであろう雄の匂い。清廉な空気を纏う客卿の奥の奥に秘された性の気配。呼吸が早まる。吸い込む速度が上がる。身体に染み入る匂いにつられて、うっかり股座のそれが兆した。そろりと手を伸ばして下服越しになぞる。
     
    「公子殿」
    「うおああっ!? あ、わっ、先生、何かな」
     
     背後から届いた声にしゃがんだまま下着を抱えて隠す。平静を装って背を向けたまま、頭だけ傾けて鍾離を見やる。きょとりと不思議そうに、何事も見透かせそうな琥珀が見つめていた。手に持っていた衣服を棚に置きタルタリヤに合わせるように膝を曲げた。
     
    「着替えを持ってきたが、まだ入っていなかったのか?」
    「えっ、あー……ちょっと考え事をしていてね、うん」
    「ふむ……それは俺の下着を嗅がねば出来ないものか」
    「そっ、んなことは……」
     
     鍾離の腕が伸びる。思わず胸に抱え込んだ下着が取られて、鍾離にひらひらと揺らされた。岩王帝君にボクサーパンツを見せつけられるなんて人生で全く必要のない光景だ。
     身体を向け直して、許しを乞う罪人の気分になってしまう。しかし、鍾離はもう許しを与える神ではないので。その顔は実に愉しそうで憎らしい。いっそ殴りたい。
     
    「ふふ、そうか。公子殿は俺の下着の匂いを嗅ぐ癖があったのか」
    「ない、ないです、風評被害」
    「さっき嗅いでいたのも自慰に移ろうとしていたのも見ていたぞ」
    「みっ、てたなら……もっと早くいえよぉ、ばか」
     
     情けなさに頭が痛い。普段よりも気の抜けた声が漏れ出た。しかし鍾離は尚も愉快そうに口元を緩めている。そのまま、顔が近づいてきた。
     
    「ま、待て、なに」
    「いや、公子殿が俺の下着を嗅いでいたからな。俺は公子殿の匂いを嗅ごうかと」
    「駄目に決まってるだろ!? 俺一週間風呂に入ってないし、汗臭いし血臭いし、気持ち悪いから」
    「安心しろ、戦時中にそういった悪環境は何度も経験している。公子殿に不快感はないし、むしろどう言ったものなのか気になる。それに、お前も許可なく俺の下着を嗅いでいただろう」
    「うっ」
     
     諌める視線に言葉が詰まる。そう言われてしまうと何も反論できない。だが、さすがのタルタリヤも一週間を戦い抜いてそのままの身体の匂いを直に嗅がれるのには羞恥心がある。じりじりと近づく鍾離が頑固者なのはよく知っているし、このままではとんでもない事態になってしまう。ぐるぐると考えて、ふうっと背後から漂う薬湯の香りに一つの案を浮かべた。肩を精一杯押して、鼻が擦り付く寸前で止める。
     
    「せ、先生、あの、今の匂いはやっぱ駄目だから、代わりに」
    「なんだ」
    「一緒に風呂に入ろう、一回流して石鹸で擦ったら……そのあとは好きにしていいから」

     気恥しさは頂点だった。半ば自分の放った言葉もわからず、俯いたまま腕だけ伸ばして鍾離を留めたまま返答を待つ。
     しかし、しばらく間があいても全く返って来ない言葉に気を揉んでちらりと視線を向ける。鍾離は瞳の琥珀ごと固くなったようにタルタリヤを凝視していた。
     鍾離が一気に服を脱いで一糸まとわぬ姿へと変わった。勢いが良すぎて、嫌な予感がする。やってしまったかと身を退けかけたところで、鍾離の手がタルタリヤの腰に回された。タルタリヤの身体のべたつきも、まだ身にまとったままの服も気にする素振りなく一息に肩に持ち上げられて奥の浴室が開かれた。脚をばたつかせても棚にあたるだけで鍾離はびくともしない。
     
    「せ、先生、何かな」
    「共に風呂に入るのだろう? 折角だ、俺の手ずから清めてやる。公子殿の言う通り、好きにさせてもらうぞ」
     
     ああ、やらかした。これはもう、のぼせるまでこの場所から出られない気がする。
     後悔先に立たず。鍾離に抱えられたまま、脳裏に浮かぶ数分前の自分を殴り倒した。
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