暁の夢 夢の中 村から少し離れた森の縁にある小さなあばら家、その日当たりの良い縁側に少女が座って異形の犬神を撫でている。
二匹の犬神は黒と白で少女など一口で飲み込んでしまえる程の巨体をしていて、その大きな体を日光に晒して気持ちよさそうに横たわっていた。
「ただいま!」
「津美紀、おかえり。」
そこへ元気よく黒髪をひとつにくくった少女が薬草を抱えて帰宅した。二匹の犬神は少女をみて歓迎するようにしっぽで数回地面を打ち、顔を上げた。
「遅くなっちゃってごめんね、お昼ご飯にしよう!」
そんな巨大な犬神に一瞥をくれることもなく家へと入ると、まだ縁側に座る少女へと声をかける。少女が立ち上がると庭に伸びた影の中に犬神、現代よりかなり大きい体躯をもつ玉犬が沈んだ。
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