今日は普段よりもかなりハイペースに智春は飲んでいた。目の前にいる幼馴染のペースにつられているのだろう。回らない呂律と思考回路で、今度は智春が時重に訊いてくる。
「トキシゲはさあ、なんれ、俺ってわかってて、声かけててきたんらよ」
どうしても確認しておきたかった。先にメッセージを送ってきたのは時重の方だったのだ。
「ずっと、興味あったんだよね」
その言葉にピンとこず、智春は首をかしげる。
他の席との間には仕切りがあるのをいいことに、時重は反対側の席にいる智春の隣に座り直して、するりと白い手を伸ばす。指先の行方に気づいた智春が、反射的に腰を引いた。
「へ・・・」
妙な汗をかきながら、間抜けな声を出した後、何、と訴える。
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