グレムル前提のヒスムル(仮)23話バスに揺られる事数十分。
せっかくのデートだと言うのにムルソーとの会話は無かった。
特別機嫌が悪い訳でも、気分が沈んでいる訳でもなかった。
ただ、特別話したい事が無かっただけで。
俺はただぼんやりと窓の外を眺めて……視界の端でムルソーが脚を動かすのを見ていた。
「……やっぱ熱いよな。暖房。」
「ずっと座るには温度が高過ぎる。」
「ふふ……」
途中、座席の下からの熱風に文句を言いつつも目的地まで座り続けた。
今日は日曜日だ。
いつもならお互いに仕事をしているようなありふれた曜日の一つだったが、今日だけは違った。
勿論、休みたいと言った時にロージャは驚いていたが。
出る前にヒースクリフに詫びを入れると、ヒースクリフは特に気にしていない様子で送り出してくれた。
3964