ぎゅーって抱きしめたらぎゅーって抱きしめ返す。そんな幸せいっぱいラブいっぱいのラルポプが見たい
もうね、当たり前な顔して密着してほしい。まわりが突っ込むの諦めるくらいいちゃラブしてほしい
「ポプルは、わたしが好きか?」
「うん! 先生大好きっ」
いちゃいちゃという文字と、たくさん飛ばされたハートが見えるくらいラブい空間。
「そうか」
「先生は?」
「わたしか?」
「好きって言ってくれないの?」
瞳をうるうるさせ、不安げな様子のポプル。
「……男の子は難しいんだ」
「女の子は繊細なの!」
プンプン怒るポプル。彼女が腕の中から出ようとするので、ラルガスは強くポプルを抱き寄せた。
「一度しか言わないぞ」
だから逃げないでくれとポプルの手を取りぎゅっと握るラルガス。
「愛してる」
「んっ」
愛してる、そう言ったタイミングでラルガスはポプルの額にキスをひとつ落とした。ポプルは前髪をかきあげられた拍子に目を閉じてしまい、いつもよりほんのり赤くなったラルガスの顔を見ることができなかった。
「先生! 好きよ、だーい好き。だからもう一回言って?」
「ダメだ。一度しか言わないと言っただろう?」
ぷーっと膨れるポプルをあやすように、またちゅっちゅと彼女の頭にキスの雨を降らせるラルガス。するとなにかひらめいたのか、ポプルは表情をぱぁっと明るくする。
「一度しかダメなら、明日も言ってくれる?」
「ん?」
「今日の分の一度を使っちゃったから、今日は諦めるけど、明日の分は明日に取ってあるもんね。だからまた明日、一回だけでいいからもう一回言って? ねっ、ね?」
可愛らしくお願いと言うポプルに、そう来たかと苦笑いするラルガス。その唇は口角が上がるのをなんとか耐えるように、いびつな線を描いている。
「可愛い妹の頼みだ。仕方ないな」
「わーい! 先生大好きっ」
ラルガスがやれやれと折れると、ポプルは嬉しそうに彼の首に腕をまわしすり寄った。嬉しい嬉しいと何度もほおをこすりつけた。そんなポプルの様子に、ラルガスもはにかみながらぎゅっと彼女の背に腕をまわした。言葉では伝わらない、伝えきれない大好きを示すように、強く強く抱きしめた。
風邪っ引き
ほおを赤くして元気に振る舞うポプル。いつもより張り切るその姿に、ラルガスはそっと近づいた。
「ポプル」
「はぁい。なぁに……先生?」
ふらふら、ふわふわとした言動にラルガスの眉間にシワが寄る。ふわりと耳にかかる髪をどけて、リンゴのような赤いほおにピトっと触れる。ポプルはラルガスの手の温度が気持ちいいのか目を閉じ、その手にすり寄る。ラルガスはさらに不機嫌そうな顔をした。
「失礼」
「ふっ」
ラルガスの顔が降ってきて、思わずポプルは目を閉じる。コツン、仮面をはずしたラルガスとおでこが合わさる。ラルガスも目を閉じて、ポプルの熱を感じている。
「いつもより熱いな。風邪を引いたんじゃないか?」
「かじぇ……?」
呂律が回っていない。とろんとした目で、ポプルはぼーっと目の前のラルガスを見つめる。ラルガスは仮面をつけ直すと両手でポプルのほおを挟み、ぐっと中心に寄せた。
「ぶにゅ」
「あたたかいかっこうで寝ろ。腹も冷やすな。寂しいなら一緒に寝てやるから」
ほら、と腕を広げるラルガスの胸に、ポプルは力なく倒れた。心なしか尖った耳もシッポも弱々しく垂れている。
「よし」
ポプルを抱きかかえると、ラルガスはそのまま彼女の寝室へ向かった。ポプルが寝苦しくないようと彼女の胸元をくつろげる。自身もマントを脱いで軽いかっこうとなり、ポプルと一緒に布団に潜り込む。
「明日になったら、ちゃんと元気になれよ」
ほとんど眠っているポプルの柔らかな髪をさらりと撫で、ラルガスはぎゅっとポプルを抱きしめ眠りについた。
「ふふっ」
意識のないポプルは、それでも嬉しそうに微笑んだ。小さく、あったかいと呟き、自分を抱きしめるラルガスにもっとと言わんばかりにすり寄った。それに応えるよう、ラルガスは隙間なくポプルを抱きしめた。
「おまえをからかいたくて仕方ないんだ。早く寝てくれ」
「どうして?」
寝たふりをしていたラルガスは小声でそう言った。するとぱちりと目を開けて、ポプルがラルガスを見上げた。ラルガスは照れたように笑って答えた。
「可愛い存在が目の前にいたら、つい意地悪したくなるものさ」
「ひどいなぁ。でも、そんな先生も、大好き……」
「わたしも、おまえが好きだよ」
ふたりは幸せそうに眠りにつきました。