猫吸いならぬ
ポプル吸いがブームなラルガスが疲れきった顔のとき、仕事に行く前にポプルを吸うようになる。背後から羽交い締めにして逃げられないよう腹に手を回して囲い、すぅうううっとポプルの後頭部から息を吸い込み、ふぅうううっと息を吐き出す。それを二、三回繰り返すと「よし」と言い、スッキリした面持ちで仕事に向かう。最初にやられたときは、あまりの出来事にポプルは固まり、吸われては赤くなってじたばたともがき、息を吐き出されては目を丸くして「うひゃあ」だの「きゃうん」だという可愛らしい悲鳴を上げぶるぶると震えていた。吸われる感覚はまだいいが、吐き出されるのはぞわぞわしてシッポもピンと逆立つらしい。
今では慣れたもので本を読みながら好きにさせている。ただしそれは抱きつかれるまでの話で、吸われると嫌そうに眉を寄せ唇を尖らせ顔をしかめる。吐き出されると目を丸くしてぞわぞわぞわっと全身鳥肌が立っている。それでも好きにさせているのは諦めか、ラルガスが好きだから、どちらもか。ラルガスもラルガスで、ポプルのことを自分の所有物かアニマルセラピーのようだと思っている。猫か犬かネズミかときかれると、ポプルは猫種の方ではないチンチラが近いらしい
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