最初の頃はポプルの優しさを少し疑って愛情の試し行動をしてわざとポプルの言うこときかなかったりして「ハンッ。言うことをきかない使い魔は処分でもするか?」って喧嘩腰で話してポプルに泣かれるエピソードはあるだろうな。
泣きながら店から出ていくポプルに呆然として、そのうち帰ってくるだろうと現実逃避のように夕飯の支度やら掃除やら読書やらをして、なかなか帰ってこないポプルに焦りを感じ、ラルガスにどやされるな、任されてんだ、だから探しに行くのは仕方のないことだと、たくさん言い訳してしぶしぶといった体で、戸締まりきちっと鍵も閉めてポプルを探しに行くアル。においを辿ると子どものにおいと、しょっぱい涙のにおいを見つける。森の中で泣きながらうずくまるポプルを発見。おい、と声をかけようとしたら、ぐぎゅるるるという腹の音をきく。あうっと呻くポプルに「腹の虫は元気みたいだな」と皮肉を言うアル。ポプルはうずくまったまま答えない。メシはできてる、掃除もした、風呂の準備もできてる、早くしないと冷めるぞと、どうでもいいことをつらつらと話し、それでもポプルが顔を上げないことにしびれを切らせたアルが、おい! と怒鳴る。ポプルは可哀想なくらいびくっと震える。ばつが悪くなったアルが頭をかきながら片手でポプルをつまみ上げる。急な浮遊感にびっくりしたポプルは赤くなった目と鼻、ぐしゃぐしゃに濡れた顔をついにアルに見られてしまう。はっ、汚いなと、ゆっくりポプルをおろし、ハンカチで乱暴にポプルの顔を拭くアル。痛い痛いとわめくポプル。あらかた拭き終わると、ぽんとその頭に手を置いて、帰るぞと伝える。ポプルは、あのね、と言い、自分はアルをあの闇の中に閉じ込めたりしない、教会に渡したりもしない、だってアルはわたしの使い魔だもん、誰にもあげない、ずっとわたしのそばに置いておくんだとポツポツ話す。そんなポプルの言葉に、じんわりと胸にあたたかな気持ちが灯るアル。けれどそれを素直に認められるほど、今のアルのプライドは低くはないのだ。数歩うしろから歩くポプルを待って、アルはぶっきらぼうに、ん、と手を差し出した。ポプルはなんのことかわからなかったが、伸ばされた手がおろされないことを知ると、嬉しそうにその手を掴んだ。きこえないほど小さな声で、悪かったよと謝るアル。ポプルはわかってるよ、と言わんばかりに、ぎゅっと強くアルの手を握った。